群青のヒロイン (ページ26)

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26.彼氏ページ26

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永瀬廉side

「本当に助かりました！」そう言って満面の笑みを向けたアイツ。

別にええのにあんくらい。ずっとそればっか言っとった。

「ねえ、廉ってば」

「…あ、なんや？」

昼飯を食べ終え、りんごジュースを吸っていると神宮寺勇太に顔を覗きこまれた。

勇太は不機嫌そうな顔で「さっきからずっと呼んでたんだけど」とため息をつく。

「今日朝からずっとそんな感じだけど、その原因はもしかして…」

「もしかして何や」

「俺、今日の朝見ちゃったんだよね。廉が女の子と歩いてるとこ」

「…あー、あいつか」

「数日前に廉にジュースぶっかけた子だよね。何、仲良くなっちゃったの？」

「たまたまバイト先が一緒やったんよ。そんで話すようになっただけ」

「ふーん。のわりには楽しそうだったけど？」

「Aだけやろ。俺は別に…」

「Aちゃんっていうんだ。その子。」

…あかん。こいつのコミュニケーション力はまじで危険や。

いつも色んな情報を巧みに聞き出す。

俺はもうしゃべらんで。

「で！その子のこと好きになっちゃいましたーみたいな！？」

「ちゃうわ。ただの後輩。」

「連絡先とか持ってないの？」

「知らん。」

「一年だよね？何組？」

「知らん。」

「彼氏いんの？」

「知らん。そろそろウザいで」

頬杖をつき、もうこれ以上は答えないとアピールするように窓の外を見た。

…彼氏、か。

この間、荷けつ(二人乗り)しとった男は彼氏やろうか。

いやでも彼氏おったら他人の男の家に泊まったりせえへんか。

…いやでも、アイツの事やからなんも考えずにそういうことしそうやなぁ

いやでも…いやでも…

悩みにふけっている俺を興味ありげにみてる神宮寺に、そのとき俺は気付かなかった。