23.ラフな先輩 ページ23
「あっちぃー。風呂ええで」
濡れた髪をわしわしとタオルで拭きながら部屋に戻ってきた。
…男子って風呂上りは上半身裸って本当だったんだ。
「服着てくださいよ」
「なぁクーラー付けて」
聞いちゃいねー！
「おお！待ってめっちゃ部屋綺麗になっとるやん！」
「服はそこにまとめて畳んでありますから」
「よし、お前これから週１で俺ん家来い」
「掃除くらいは自分でやってください。あ、お風呂もらいますね」
「あ、なぁなぁ飯どうする？」
「私はダイエットしてるんで20時以降は何も食べてないですよ！」
「はぁ？食えや」
「食えやって…乙女の心を無視ですか」
「ここは俺の家やから俺がルールや。」
自分の家にいるからだろうか。先輩、いつもより気が抜けているというかくだけた感じというか…
一言で表すなら、”ラフ”って感じ。
「て言っても、先輩料理なんてできるんですか？」
「舐めんな。出来るわそんくらい」
「じゃああのカップ麺の山はなんですか！」
「バイト終わりに帰ってわざわざ作るん面倒なんやもん。ええからはよ風呂入って来い」
鬱陶しそうに片手を振って、キッチンに行く先輩。
一応、お泊りに必要そうなものはコンビニでちらほら買ったけど、着替えは制服しかない。
「せんぱーい、着替えちょうだい」
「あーそうやったな。右のクローゼットの上から三段目にＴシャツあるから取っていき」
「下は？」
「お前のその身長やったら俺の絶対入らんやろ…」
うげ、確かに。
「ロングＴシャツあるからそれ着とき。ワンチャンいけるやろ」
「その”ワンチャン”は下は着なくてもいいってことですか…」
「嫌やったら四段目のクローゼットから適当なの取っていき」
そう言いながら冷蔵庫から野菜を取り出し、軽快なスピードで刻み始めた。
え、普通にすごいんですけど。
料理できるって本当だったんだ。
「…じゃあお風呂いってきまーす」
「おう」
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作者名：しお
| 作成日時：2019年8月8日 18時
