14.帰り道 ページ14
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同じ時間に上がったので帰る時間ももちろん一緒。
別に永瀬先輩について行ってるわけでは無いが、私の行こうとする道には永瀬先輩が歩いている。
そうじゃないとしても、ついて行っているみたいでどこか癪だ。
「…なんやお前、まだ俺に何か用？」
案の定、先輩は私を振り返りそう言った。
「帰り道、私もこっちなんですよ」
「お前、駅どこ？」
「新宿駅です。」
「…一緒かいな」
なんですか。私と一緒の帰り道は嫌ですか。そうですか。
それと”お前”と連呼されるのは相変わらずムカつくからやめてほしい。
「………」
「………」
ちょっとだけ、気まずい…かも。
何か話したほうがいいかな。
いやでも永瀬先輩のことだし気にして無さそう。
「……バイト、慣れそう？」
「あっ…！はい！」
先輩から話題を振るのは予想外だった。
この人、世間話とか余計なこと話したがらないような人だと思ってたから。
「レジ打ち間違えたらテンパりません？」
「俺あんま無いわ。預り金入力のことやんな？」
「そうです！さっき本当は千円って打たなきゃいけないところを一万円って打っちゃって」
「あー、それならたまにあるかも」
「慌てて電卓探しましたよー」
「代金いくらやったん？」
「４００円でした」
「…ぴったし？」
「はい」
「…そうなん」
夜の街灯を頼りに先輩の顔をチラリとみれば、呆れたような顔。
「なんですか、今の間。それくらい暗算しろって言いたいんですか」
「暗算はできひんのに心の中は読めるんやなぁ」
「しょうがないじゃないですか！テンパっちゃったんだから！」
「いやテンパってもそれくらいの計算しようや」
ケラケラと楽しそうに笑う永瀬先輩を見て、私もつられて笑ってしまう。
私、永瀬先輩のこと誤解してた。
「先輩、これからよろしくお願いします！」
「えー、嫌やわぁ。こんな後輩」
「私だってこんな先輩嫌ですよ」
「どういう意味や」
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作者名：しお
| 作成日時：2019年8月8日 18時
