06.イルミネーション ページ6
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蘭「で、何食いたい?」
電車を降り、駅のホームを歩く。
危なっかしいので秋吉の手はずっと握ったまま。
『私、なんでもいいので先輩決めてください。』
蘭「そういうのが一番ダルイんだよなぁ」
『えと、すみません…』
蘭「お前すぐそうやって謝る癖なおせ。じゃあ今日は俺のおススメんとこ連れてってやる。」
『…はい!』
改札まで着き、俺は先ほどと同じようにカードをかざす。
蘭「切符はかざしても通れねーからな?」
『もう分かってます!』
蘭「はは、学習能力はあるんだなー」
二人で改札を抜け、そのまま歩こうとしたが
ふと後ろに秋吉の気配が無くなった。
振り向けば、今度は改札を抜けた所でアタフタしていた。
『せ、先輩っ!どうしよう切符が出てこないんです…』
もうやめてくれ。笑い死ぬ。
腹を抱えてこれ以上ないくらい爆笑している俺を見て、秋吉はまた顔を赤くさせた。
『わ、私…また間違えちゃいました?』
蘭「もう目的地に着いたから、切符は要らねーだろ?」
『そうなんですね…!』
あーあ。なんか拍子抜けだわ。
今日中に落とそうと思ったけど、やめた。
コイツが完全に俺に惚れてからにしよう。
『…先輩笑いすぎです』
蘭「そりゃ笑うだろ。」
それから秋吉は店に着くまで恥ずかしさからか真っ赤だった。
馬鹿な女は嫌いだけど、ここまで何も知らない奴はむしろ染めたくなる。
無知な女を可愛いと思ったのは、秋吉が初めてだ。
蘭「どうだった?俺のおススメの店。」
『とっても美味しかったです!でも、御馳走になっちゃって申し訳ないです』
蘭「女の子は”ごちそうさまで〜す”って適当に可愛い顔して笑ってりゃいいの。」
『なるほど…!』
蘭「けどオレ以外にすんのはナシな?」
店を出ると、外は良い感じに暗くなっていた。
この時期だから日が落ちるのも早い。
蘭「よし、次行くぞ」
『つ、つぎ!?』
蘭「イルミネーション好き?」
『イルミネーション…テレビで見たことあります。』
蘭「だと思った。今から行くぞ。」
俺は返事も聞かずに秋吉の手を引っ張り、寒い夜の街を歩きだした。
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作者名:平 | 作成日時:2021年11月24日 14時