恋はやがて泡になる。【灰谷蘭】 (ページ10)

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10.嘘ページ10

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電車の乗り方が未だよく理解できていないという秋吉を家の近くまで送り届け、

その後再び自宅へ帰った。

竜胆「おかえり。」

蘭「…ん」

アイツを送った帰り道、俺は今日一日の自分の行動を振り返って

改めて自分自身に驚かされていた。

そんなこんなで頭がいっぱいで竜胆にまともに返事も返さずにソファへ深く腰掛ける。

秋吉A。

まぁ、探せばああいうタイプの女は山ほどいるだろう。

けれど、アイツはそういった女とはまた少し違った雰囲気を纏っている。

俺のことはたくさん聞いて来るくせに、自分のことについては一切喋らない。

俺にあんだけ笑顔を向けてくるのに、一切興味が無いようにも見える。

だからこそ繋ぎとめておきたくなるような、支配欲みたいなものがくすぐられる。

竜胆「兄貴が女の子家まで送っていくなんて珍しいな」

キッチンから聞こえていた水道の音が止まり、代わりに竜胆の声が耳に届いた。

蘭「…あー？アイツ電車の乗り方もロクに知らねー世間知らずだから最寄りの駅まで送ってやっただけだ。」

竜胆「……惚れてんの？」

惚れる？誰が誰に？

蘭「はは、まさか秋吉？」

竜胆「以外に居ないだろ」

蘭「あんな見るからにバカそうな女に俺が惚れる？冗談キツいぜ竜胆～」

竜胆「じゃあなんで家に連れてきたんだ？」

蘭「…………」

イルミネーションを見ているアイツが、どこか泣きそうな顔をしていたように見えたから。

蘭「秋吉が、俺の家に来てみたいって言うから。」

咄嗟に口から出た言葉。

もちろん秋吉はそんなこと一言も言っていない。俺が強引に連れてきた。

竜胆「…へぇ。あの子意外と積極的なんだな。」

そう言った竜胆の目が、俺の嘘を見透かしているように見えたから

咄嗟に目をそらした。