恋はやがて泡になる。【灰谷蘭】 (ページ8)

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08.竜胆side ページ8

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竜胆side

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蘭「ただいまー」

夜19時頃、兄貴が家に帰って来た。

兄貴は基本的に極端に早く帰って来るか朝帰りかの2択だから、この時間に帰って来るのは珍しい。

竜胆「おかえりー」

携帯を片手に、リビングから返事をすると、兄貴じゃない別の人の声が聞こえてきた。

蘭「ほら早く入れって。」

『お、お邪魔します…』

…女＿＿？

思わず振り返る。

すると、リビングに兄貴と小柄な女の子が入って来た。

竜胆「…は？！」

思わず声が出た。

見間違えじゃない。女だ。

しかも身長は１５０㎝程度のか弱そうな女。兄貴のタイプと真逆。

それに兄貴が女を家に連れ込むなんてまず無い。

ヤるなら基本ラブホか学校。

蘭「竜胆～、なんか飲み物出してやって」

『あのっ、お構いなく！』

蘭「ホラその辺座れよ」

『あ…失礼します』

どういう風の吹きまわしだ？

こういうタイプの女は絡むと面倒だとか言ってなかったっけか？

竜胆「…コーヒー、飲める？」

『すみません、ありがとうございます。」

しかも、めちゃくちゃ礼儀正しい。

緊張している様子の女の子を楽しむように兄貴はジロジロと見つめる。

竜胆「兄貴、ちょっとコッチ来て」

蘭「ん？」

キッチンまで兄貴を呼び、俺はコソッと小声で耳打ちする。

竜胆「何アレ？新しい女…？」

蘭「あー、まぁそんな感じ？」

竜胆「兄貴いっつもラブホじゃん。ヤるならせめて部屋行ってくれよ」

蘭「ばーか。ヤんねーよ。はやくコーヒー淹れろ～」

兄貴はそれだけ言うと、再びその子の元へと戻っていった。

…ヤらない？

じゃあなんでわざわざ家まで連れてきたんだ？

今日の兄貴はまじで分からない。