恋はやがて泡になる。【灰谷蘭】 (ページ2)

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02.出逢いページ2

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彼女と出会ったのは、俺が高校二年生の頃。

特にやることも無く久しぶりの学校に出向いたものの、ものの数分で飽きてしまった。

人気の無い空き教室へ向かい、ドアを開けると

『…っ！』

そこに、下着姿の彼女が居た。

彼女は明らかに焦った様子で、いそいそと体操着で自分の体を隠す。

なるほど。ここで着替えをしていたのか。

蘭「………」

それよりも俺が気になったのは、彼女の体のあちこちにあった傷や痣。

なんだアレ？

あんな傷があるからわざわざこんな暖房も入ってないような寒い空き教室で着替えてんのか？

蘭「お前、いじめられてんの？」

俺は視線を外すでもなく、教室から出るわけでもなく、体操着で体を隠したままに彼女に問う。

けれども、帰って来た返答は「えっと、」とか「あの…」とか、そんなものばかり。

ハッキリもの言えや。俺こういう女キライだわー。

蘭「はぁ…早く着替えて出てけよ。」

『あっ、はい！』

ドカッと近くの椅子に座り、ポケットからゲームを取り出す。

チラリと彼女に視線を戻すと、俺に背中を向けて体操着を身に着けていた。

…でっけー傷。いじめとかって本当にあるんだな。

まぁ、俺には関係ないけど。

再びゲーム画面に視線を戻すと、ゲームの電源は切れていた。

…竜胆のやつ、また充電しないで寝たな。

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蘭「お前、ちょっとコッチ来いよ。」

途端につまらなくなり、俺は気まぐれでその女を手招きした。

近くで見てみると、彼女はそれなりには可愛い顔をしていた。

女同士の痴情のもつれか、嫉妬の類でいじめられたとか、そのへんか？

それに見るからに気が弱そうだ。

蘭「ふーん。可愛いね。」

適当に微笑みかければ、彼女はわかりやすく顔を赤らめてアタフタした。

こういう女とはあまり遊んだことが無い。

どうせ処女だろ。一回ヤッて飽きたら捨てよう。

蘭「あんた、名前は？」

『…秋吉、Aです。昨日転校してきたばかりで』

蘭「その体操服の色、１年だよな？」

『はい…！』

蘭「着替えるとき、またここに来ていーよ。教室じゃ着替えにくいんだろ？」

『あ…りがとう、ございます。』

このとき、俺は気づかなかった。

彼女が言った”転校二日目”という言葉と、あの体にあった複数の傷の矛盾に。