【被虐のノエル】空白の魔女【フーゴ・ドレッセル】 (ページ9)

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06:契約ページ9

『カレはオスカークン、フーゴクンの兄だ』

『そういう話じゃなくて、私の話！』

『？……契約の話？』

『そうだよ！…この身体は何？なんで真っ白なのよ、これじゃあまるであの子じゃない…』

そう、まるで鏡で見た彼女の、成長した姿。私にそっくりだけど、違う…この姿は私ではない。

『ボクの趣味だよ、白は良いよ、何色にも染まりやすい…とっても好きだ…
それに、こっちの方がフーゴクンにもわかりやすいでしょ？
そして親しみがある、いきなり身知らずの君が付きまとうよりかは、効果があると思うけどなぁ』

猫は意地悪く笑う。

『ころした相手が生きてると思う方が、気味が悪いわよ…』

そうかい？猫は笑いながら続ける。

『さて、契約の話をしようか…君の元の肉体を消滅させることで、ボクがこちらの世界に新しい肉体を作り、そこへキミの魂を連れてきた…
だから、君の身体は普通の人間のそれとはまた違うし、多少頑丈だから安心して』

『頑丈…』

新しい自分の身体を触る、ふにっと脂肪がついていた。

『ん～、たぶん爆発くらいなら諸ともしないと思うよ』

『思うって…』

『実際にやってみないとわからないね！オススメはしないよ！』

カラカラと笑う白猫、足下に歩いてくると目の前に立った。

『そして、世界を捨ててまでこっちに来てくれたキミを評価して、ボクからのプレゼント…』

瞬きをすると、ウェーブがパソコンに写っていた時のような、人型になっていた。

『今まで話した契約だが、もう一つ契約をしてあげてもいいと思っているんだ。

ボクはね…キミの欲望をもっと見たいんだ』

持っていた白いステッキでAの顎を掬い上げる、その虹色の眼と見つめ合った。

『あの爆弾魔のフーゴクンにどんな感情を抱いて、どんな願いを持って、どんな欲望をその口から出すのか…とても見物だよ』

にんまりと三日月を描いた口から笑い声が聞こえる、とても薄気味悪かった。

『まぁ、精々無様なお願い事をしないようにね…』

そう告げる悪魔は、とても冷めた目をしていた気がした。

※

それから珠に、オスカーが私の特別独房を訪れてはフーゴの昔話をしてくれた。
自分の体調が安定した時に悪魔騒ぎで家が爆発で燃え、自分だけが生き残った話。

私も話す、マザー達がフーゴを保護した話。

爆弾魔がフーゴだった話。

マザー達がフーゴに殺された話。

そんな、身の上話をしていた。

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