【被虐のノエル】空白の魔女【フーゴ・ドレッセル】 (ページ19)

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16:何者でもない空白ページ19

「そっちが本音だろ…お前だって悪魔と契約したんだ、どんなエゴで動いて、どんな目的で来たんだ、何でその姿なんだ！お前はなんなんだ…お前はっ」

『“空白の魔女”』

白い猫が、白いタキシードを翻し、片手を帽子に当て地に降り立つと、二人の近くに立った。

『ウェーブ…？』

「それが、お前の本当の姿かよ」

フーゴがAから手を離し、ウェーブに向き直る、ツカツカとウェーブは気にせずAの前に歩いてくると、静かに告げる。

『A、キミは“空白の魔女”、キミの存在は初めから無いんだこの世界に、キミの居場所も、ここには無い

キミは幸せにはなれない。

だってこの物語は君が居なくても、進むんだから』

『っ、……私は、』

悪魔だが、この姿でない私を唯一知っていて、信頼してしまっていたウェーブにそう言われ、自信が無くなってきた。目の前が真っ暗になった気がした。

どうして、そんな事言うのだろう？
膝から崩れ落ちる、涙が乾いた。

『…だから死なないように言葉には気をつけてよ』

最後の優しい言葉に疑問が、一気に弾けとんだ。

重い重圧がのしかかる、これは…何？

身体が震える。

ウェーブがため息をついて、殺気立ちながらフーゴを見た。

『フーゴ、キミ…Aを殺そうとしたでしょ』

『ぇ…？』

「……」

Aは顔を上げた。

フーゴの手には一つの爆弾が握られていた。

『…言っておくけど、彼女が死んでしまったらボクは非常に困る…契約が済んでないからね、ボクは“虹眼”の大悪魔だよ。
攻撃は得意じゃないが、防戦は得意でね…スタミナの無いキミを倒す事は簡単なんだ』

「だからなんだよ」

『もう少しカノジョを試すのは後にしてくれないかな？…カノジョはまだ、本当の望みを見つけていない、可愛い可愛いボクの雛鳥なんだ』

杖で顔を無理矢理、フーゴに向けられたAの表情は悲痛な物だった。

『なん、で…、』

「…やる気失せた、勝手に言ってろクソネコ」

手にある爆弾を元の位置に戻しフーゴが去っていった。目を白黒させAはウェーブに訪ねる。

『……、これ…結構危なかったんじゃ…？』

『言葉には気を付けなよA…簡単に死んじゃうよ？』

抜けた腰が立たない。
恐ろしき世界…

『まぁ、死にそうになったら助けてあげるよ…ボクは優しいからね』

『それは嘘でしょ、あんた悪魔じゃん…』

『ふふんっわかってるね、なら大丈夫だ…今度甘いこと言ったら本当に殺されちゃうよ？』

。