12:膝枕 ページ15
『嘘でしょ！？』
目の前で、ノエルが火の海を飛び越えてフーゴの腹に突撃した。
かなり鈍い音がした気がする、そしてフーゴはピクリとも動かない、ノエルがフーゴの腹の上で起き上がった。
「あら、ボマー、ボマー？…気絶してますわ」
『してますわ、じゃないよ！石頭だね！？』
同じように炎の海を飛び越えてきたAがフーゴを抱き起こす、ただ気絶したようでホッとした。
『そこの岩場まで運ぶよっ、見つかったら大変急いだ！』
「わ、わかりましたわ…っ」
※
膝枕していたAの腰に腕が回った。
『ふぉ…っ…』
「…あ？……」
「気がつきましたの？」
「……ここは…いや…まさか俺は……」
「あなたがあまりにもふざけているから一撃をお見舞いして差し上げたら、気絶しましたわ。口だけじゃないって事…これで証明できたかしら」
「…………。」
フーゴが間を置いてAを見る、自分の腕が彼女の腰に回っているのを見てから、もう一度彼女顔を見た。
Aが困ったように笑うと、勢いよく起き上がりノエルに向けて吠える。
「…バカ、これは違ぇよ…！こちとら独房生活で疲れ切ってたんだ！それに、マスクも…」
『(マスク…？)』
「と、兎に角！本来の俺ならお前ごときに頭突なれたくらいじゃ倒れねぇよ！」
「そ、それでも約束はしっかり守ってもらいますわよ！」
『約束？』
話が見えず、聞き返すとノエルが胸を張る。
「カロンの救出に協力してもらいますわ！」
「〜〜〜〜っ！」
また、ウロウロとし始めた。
息を吸って吐く…
「……わかってるよ、仕方ねぇ。俺も男だ、炎の中に飛び込むほどの根性見せられたからには、二言は無しだ……そういえば、渡れたのかシスター」
「貴方が気絶した瞬間、助走もつけずにこちらに飛んでいらしたわ」
少し目を細めてAをチラッと見るが、すぐにノエルへ視線を戻した。
「まぁ、お前が口だけじゃねえって事は…認める。やれやれ、昨日の敵はなんとやらってか…妙な事もあるもんだな…」
「正直かなりの不安は残りますけど、よろしく、ボマー」
二人が逞しく見つめ合う。が、
「…これ以上余計な事はしないでくださいまし。」
ノエルが不安そうに念を押した。
こうして、脱獄劇は幕を閉じる、そして、ここから脱獄以上に危険な救出劇となるだろう。
「まずは落ち着かねぇとな。カロンを助けるにしても、作戦会議からだ。」
そのまま三人で廃製鉄所に向かった
。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 30人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名取針子 | 作成日時：2018年1月2日 22時
