08:シスター ページ11
『フーゴ』
「なん、だよ…しすた、ぁ」
やっぱり、彼女だと思ってるんだ…。
それでも、それでも私は…私という存在を知って欲しい。いざ彼を前にするとそんな気持ちが勝り、告げていた。
『私はシスターじゃない、私はA、彼女じゃない…』
「はっ、よく言うぜ…」
フーゴが頭に手を置いて笑う、その表情は哀れむような、悲しむような顔だった。
『なんでっ…私はシスターじゃないっ、彼女は貴方が殺したでしょ？』
「いいや、お前もシスターだ…俺が、＊＊の中のお前に付けた名でもある…
お前ら二人で１つの姉妹“シスター”だ」
フーゴの口から告げられたのは、予想外の言葉だった。
いつから？…初めから……？
『私の存在を認識していたって、こと…？』
私だけが見ていたつもりだった。
そうじゃなかった。
「その面、知らなかったみてぇだな…」
『当たり前でしょう…っ』
少し涙が出そうだ。
私のこともわかっていてくれたんだ。
「時々見てただろ、俺を…あいつの眼で、普通に気付いてたぜ…生温い眼だったからな」
『生ぬるいって…』
ふっと笑って少し姿勢をずらして寝たままフーゴが近付いてくる。
「おれは、割りと好きだったぜ…兄貴みたいに優しかったから…その眼。」
顔に熱が集まるのがわかる、そんなの、ずるいじゃないか！
『でも、彼女はもういないから…シスターにはなれないわ』
「あぁ、俺が殺した…ボマーとして、初めてな、それが初めての依頼だから」
『バロウズ』
口から出たのはあの男。
「知ってんのか…」
『少しだけこの、世界のことを勉強した…でも、こうしてフーゴの元に来れてよかった。私を知っていてくれて、ありがとう…』
手を伸ばすと、少し顔を歪めながら手を取っ手くれた。
「…………。」
『どうかした？』
「お前、魔人か？」
『……そう。君に会いに来るために魔人になったんだ…私は、この世界の人間じゃないから』
「そうかよ…遠路遥々ご苦労なこった……ありがとよ…手、握っててくれたんだろ？それのお陰か、治りが早ぇ」
『？……なんの話？』
「あ？…お前の力じゃねぇのか？」
二人で小さく頭を捻っているとウェーブが寄ってきた。
『やぁ爆弾魔のフーゴクン、ボクは虹眼の悪魔、ウェーブさ』
「……猫が、喋った…」
『高貴な猫様だよ』
えっへん、と言いたげなウェーブに二人で渋い顔をする。
「…、…ゲホッ」
『大丈夫っ！？』
。
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作者名：名取針子 | 作成日時：2018年1月2日 22時
