暗い闇の中 ページ33
バシャンッ、と音をたてて水飛沫が上がる。
……その水飛沫の上がる防波堤の近くには人影があった。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
…猫の声が聞こえる。
異能のおかげで、鳴き声でなく人間の言葉ではっきりと聞こえた。
…昔も聞いたことのある声。昔も聞いた話を。
《あの店は終わってしまったよ》
《多分Aの言う"彼の人"は
分かってる、と返したかった。だが鳴こうとしても口からは泡が出てくるだけ。
此の会話は…彼の人と会った数週間後の猫との会話。
《行かなくて良いの？》
《ねぇ、気持ち伝えずに終わっちゃうよ？》
私の本来の姿も未だ見せていなかった。
だって彼の人が
本来の姿を見せていたら、どうなっていたんだろうか。
…若しあの日の写しならそろそろ彼の人と出会う筈。彼の人が引き上げてくれる筈だ。
……。
………。
………………？
全く何も感じない。引き上げられる感覚も。彼の人の焦った声も。
その代わり何故か聞こえるのは、記憶にない猫の声。記憶にない猫の話。
《同じ日を繰り返すなんてあり得ないよ。》
《やり直しなんて御伽噺は無いの。》
《彼の人は
《A、君は……………》
その後の声は聞き取れなかった。
でも、その声は聞いたことの無い筈なのに、迚暖かく、懐かしい声だった。
…でも暖かい声の代わりに、冷たい言葉は心を大きく抉っていった。
自分でも気付いていた。御伽噺だと。
其れを信じたくないが為に飛び込んだ。
だが、矢張り御伽噺だった。
飛び込んだ事実もやり直せはしない。
嗚呼、落ちて行く。
闇の底に。
息が出来ない筈なのに、全く苦しさを感じない。
此のまま、死んでしまうのだろうか。
普通なら浮かぶそんな考えも起きないくらいに。
だんだん、ふわふわとした感覚に包まれる。
其の感覚に身を任せ、意識を手放そうとした。
其の刹那。
引き上げられる感覚が起こる。あり得ない筈の現象に、手放しかけた意識も戻ってくる。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
再びバシャンッと音がして、海から白猫が上がった。
海水に濡れた体が夜風に吹かれ、ひやりとした冷たさに、白猫はぴくり、と小さく体を震わせた。
素敵帽子先生のありがたい御説教タイム(？)→←中原中也生誕祭3！
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無神氷狐龍��(プロフ) - かなさん» ありがとうございます！外に出れなくて暇なので更新スピード上げれるかなぁと思います(о・ω・о) (2020年4月13日 19時) (
レス) id: ceb7e35640 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 池田屋の高速槍のところが好きです！これからも更新頑張ってください(^-^)ゝ゛ (2020年4月13日 18時) (レス) id: 720c3d5113 (このIDを非表示/違反報告)
中原氷狐龍(プロフ) - ガールガールさん» 外行ってくるからよろしく☆ｷﾗﾝｯですからねwww (2019年6月20日 22時) (レス) id: ceb7e35640 (このIDを非表示/違反報告)
中原氷狐龍(プロフ) - kuroさん» 頑張りますよっ！！ (2019年6月20日 22時) (レス) id: ceb7e35640 (このIDを非表示/違反報告)
中原氷狐龍(プロフ) - Earthさん» はい！頑張りますね！ (2019年6月20日 22時) (レス) id: ceb7e35640 (このIDを非表示/違反報告)
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