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「まァそんなに悲しむなって…。信じられないのは俺も同じさ。俺はこれが偽物だと思う。
だから俺は、Aさんを探しに行ってくるよォ…」
俺は嘆き悲しむ岳斗の耳元でそう言い、立ち上がって扉の向こうへと消えた。
勿論入ってきたところではない。この部屋にあった、もう1つの扉だ。
扉を閉めて、複雑に怪奇した廊下を歩く。…この館は本当複雑なところだなぁ〜。
…なんて、冷静に考える裏腹。
「…ッ…くっ、ふ…ッ」
俺は突如として、腹を抱え笑い始めた。
…ヤバイ…笑いが治まんない。これこそまさに、滑稽だと形容するのに相応しいのではないか?
「…ッ…あはッ…あハ…あ―――ッはははははははははは!!!!」
俺は遂に堪え切れなくなり、甲高い大声で笑った。
「あはははっはっ、あひゃっ、あひゃっ、あひゃはぁぁ」
クラスの皆の前では絶対に出さないような、周りからしたら気持ち悪がられるような声で笑う。
でもこの際は仕方ない…仮面を剥いで、笑ってしまおう。
あれはマジで傑作だった…特に岳斗の反応なんて…いやいや、最高だったねぇ。
やー…皆は本当にバカなんだなぁ。お前らの目は節穴かっつの。
「バカだなぁ…こんなのに『騙されちまって』」
俺は携帯の画面を呼び出した。
そこには『メール作成画面』だのなんだのいろいろ書いてあって…皆に見せた本文が書いてあった。
…そう。これは俺による、自作自演だったのだ。
何でこんなことをしたのか…それは、俺がAが好きだったから。
いつ好きになったのかはわからない。けれど、彼女を独占したい…いつからかそう思うようになっていた。
だけど彼女は奴の手へと渡っている。
それならば、彼女を死んだことにして…問題を起こして…別れさせて…奪えばいい。
経緯はどうであれ彼女が別れて俺のものになればいいんだ。
これでもう、Aは俺のもの同然だよなぁ…?
そう思って、1歩進んだとき。
ドス、という鈍い音とともに腹部に痛みを感じた。
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セトマリ - 私的には、ツキヒコと薊さんが好きです!幸せになりつつあったのに…… マリーには、幸せになって欲しいです (2014年8月20日 4時) (レス) id: 6f8166006b (このIDを非表示/違反報告)
カノtoクロハLove→莉々(プロフ) - フュンフ ―funf―さん» ニセモノさん…。エネの恋ちょっと切ないけど、私は応援するぜ!! (2014年4月18日 19時) (レス) id: 9fab18750d (このIDを非表示/違反報告)
フュンフ ―funf―(プロフ) - ウィードさん» コメ有り難う御座います!…ん、え?!スイマセン驚きすぎて二度見しました。ンマジですか…?!や、友人に1回言われたことあるけどでもそんな…!(スイマセン有頂天です 文章を褒めてくださるなんて…もう凄く嬉しいです!感無量です…!(*^_^*) (2014年4月18日 19時) (レス) id: 9333c965f2 (このIDを非表示/違反報告)
フュンフ ―funf―(プロフ) - カノtoクロハLove→莉々さん» キドカノは人気ありますよね。僕も大好きです!でも一番はエネコノですかね…個人的にはw (2014年4月18日 19時) (レス) id: 9333c965f2 (このIDを非表示/違反報告)
ウィード - 小説家になれるんじゃないですか?文の書き方や作り方がスッゴい上手です!! (2014年4月16日 21時) (レス) id: 4f7fc97cb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フュンフ | 作成日時:2013年12月10日 18時