逃げろ。【ホラー】

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「や〜、本当に広いね…この館…」


ダルそうに呟いた風露。


この館は、見た目からも想像できるがとにかく広い。


いや…見た目よりも広いのだ。だから、方向感覚がおかしくなってしまう。


「広すぎておかしくなりそうだな」


「その台詞何回繰り返すのよ」


岳斗の言葉に冷静かつ冷たいツッコミを入れたのは飯塚さん。


彼が先ほどから何回も同じセリフを繰り返しているのが気に食わなかったのだろう、彼女は聞き流していたセリフにツッコミを入れた。


今、ここにいるのは私、岳斗、風露、そして…飯塚さん。


彼女は先ほど「多くても３人まで」と宣告した。


だけども、その場にいた皆が怖がって３人で組んでしまうため…彼女だけが余ってしまった。


何処かのグループを２人にして、と呼びかけるものの自主的に動く人はいなくて…


まぁそれなら４人になってしまおう、ということで私たちのグループに彼女がいるのだ。


「いや、だってよォ…」


彼は何か言いたそうに頭をポリポリとかいていたが、彼女にギロリと睨まれて、びくりと体を震わし硬直。


そして、そのまま黙り込んでいた。


情けない奴だな…そう思い内心で苦笑していたが、飯塚さんの睨み方は尋常じゃなかった。


その台詞をもう二度というな…というよりは、自分がこのゲームに対して感じている恐怖を覆い隠すような睨み。


やっぱり、学級委員として皆をまとめ上げるけど…それこそ本人だって恐怖を感じているのだ。


「…出口はなさそうだね」


私はそんな緊迫した空気を少しでも紛らわそうと、溜息とともに呟いてみた。


「…そうだね」


風露はわかってくれたのか、或はただの返答なのか…定かではないが、そう返してくれた。


ちなみに手がかりがない、というのは咄嗟に思い付いた言葉ではない。


というよりか、出口どころか脱出の手がかりすら見つからないのだ。

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