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退の運転で松の団子屋へ帰ると、そこに彼女はいなかった。
藍染めの暖簾はしまわれており、電気1つ付いていない。
いるのは仏頂面の十四郎だけだった。
「な、なんで副長がこちらに…!?」
明らかに動揺を見せる退。
だがそれ以上に日向の動揺も大きかった。
「十四郎、松さんは…?何で、十四郎がここにいるの…?」
2人で住み始めてから、松が家を空けたことはない。
いつも、何時に日向が帰ろうが松は笑顔で出迎えてくれた。
その松がいないなんて…。
「なんでも萩の方まで用があるらしい。その間だけ頼れる奴がいねェから、お前を真選組に置いて欲しいって頼まれたんだよ」
十四郎はそう言い、箱から1本タバコを取り出し口に咥えると、火を付ける。
そしてふぅ……と深く白い息を吐き出した。
「…連れてってくれればよかったのに………」
うるりと瞳を濡らす日向。
「そんなら話は早ェ。さっさと屯所に帰りやしょ、日向」
そんな彼女の頭を、総悟はガシガシと撫でた。
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いぬ(プロフ) - 大好きです!いや、もう本当に好きです。日向ちゃんの性格が可愛すぎるっ!これからも頑張って下さい! (2020年12月17日 6時) (レス) id: daed22b7fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:吉良 x他1人 | 作成日時:2015年1月9日 18時