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「えっ、この子、宏太の知り合い？」
「そうそう。ゴメン、こいつちょっと連れてくな」
「なんだよ、紹介しろよー」
「アハハ、また今度」
というか俺、男なんですけど…となんとも言い難い気持ちになっていると、薮にさらに強く手を引かれる。どうやら茶髪の彼との会話はすでに終了していたらしい。
「ほら、早く」
柔らかな声色とは対照的に、俺の手首をつかむ手は痛いほどに強い。「バイバイ」と呑気に手を振ってくる高校生に曖昧に笑って手を振り返しながら、そのまま薮に引きずられるようにしてその場を後にした。
＊
「ちょ、薮、待ってって…！わっ」
俺の腕を引っ張りながら先を歩いていた薮が急に立ち止まり、勢い余ってそのまま彼の背中にぶつかってしまう。頭を押さえながら顔を上げると、先程の営業スマイルとはかけ離れた不機嫌を全面に出したような表情とかち合った。
「もう、何、急に…」
「それはこっちの台詞。ストーカーでもしに来たのか？」
「ち、違うよ！高校生活をのんびりと送っている薮が見てみたくなって待ってただけ！」
「うちの高校の男子高校生に色目使いながら、ね」
「色目なんか使ってないー！」
「よく言うよ、ナンパされてたくせに」
「なッ、とういかあれはっ、向こうが勝手に言ってきただけで……」
よっぽど怒ってるのかいつも以上に辛辣な言葉がズバズバと飛んでくる。たしかにかなりの悪目立ちをして迷惑をかけた自覚もあるけれど、それにしたって酷い言われようだ。こっちから男子生徒に迫ったつもりは毛頭ないし。そしてあれはナンパというほどのものでもない。断じてない。てか俺男だし。
むぅ…とむくれながら押し黙っていると、不意にふわりと俺の頭に彼の手が置かれた。
「…ほんと、伊野尾って俺を焦らす天才だよね」
「……え、」
それってどういう意味だろう。
薮の言葉の真意を探ろうと目を合わせようとすると、その視線はすぐに逸らされそのまま前を歩き出されてしまう。慌ててその後を追いつつも、普段飄々としている薮が焦るなんて珍しいことで思わず笑みがこぼれた。
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琴葉(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます！矛盾しているその気持ちわかります。映画が終わった瞬間だとか、最終巻を読み終えた時だとか。薮くん視点やその後のお話、考えてみますね。時間がかかってしまうのですが、待っていていただけると嬉しいです。とりあえずただいまです。 (2018年5月22日 16時) (
レス) id: 3ce7e31af3 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - おかえりなさい。今更みたいになってしまいましたが。完結してしまったんですね。続きを読めて嬉しかったけれど終わってしまうと一抹の寂しさ。個人的には薮くんサイドのお話やその後のふたりも気になります。また落ち着かれたら新しいお話もお待ちしてます(^ω^) (2018年5月19日 20時) (レス) id: 85d71dbfbe (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - かほさん» こんにちは。受験、終わりました。応援ありがとうございます^^ (2018年3月7日 15時) (レス) id: 3ce7e31af3 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - ひなたさん» こんにちは。受験、終わりました！待っててくださってありがとうございます。今週中には更新するつもりです。遅くなってごめんなさいm(_ _)m (2018年3月7日 15時) (レス) id: 3ce7e31af3 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - このお話大好きです。受験、応援してます！ (2018年2月10日 20時) (レス) id: fb0730de71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琴葉 | 作成日時：2017年8月23日 12時
