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「だよね！？」
有岡の同意を得られて、山田は力強く声をあげる。身を乗り出し、さらに何か言い募ろうとして、次の瞬間響いた別の声に、ぴたりと動きを止めた。
「――山田ぁ！大ちゃ〜ん！こんな所で何してんの〜！！！」
特徴のある彼の声に、山田の心臓が跳ねる。
慌てて振り返れば、いつの間にやって来たのか、伊野尾が練習室を出てこちらを眺めていた。少し口を尖らせて、拗ねた様子なのが見て取れる。
「っ、伊野尾ちゃん」
「ちょーっとした悩み相談だよー」
少し焦った声をあげる山田とは打って変わって、有岡はあっけらかんと笑ってみせる。こちらの表情は、何を考えているのかは全く読めない。う〜と唸ったあとに、俺に相談してくれればいいのにとかなんとか言って、伊野尾は山田、と声をかける。
名前を呼ばれただけで、体温が上昇するのがわかった。
「知念が呼んでたよ、行って！」
「あ、うん、わかった」
少し有岡に不安そうな視線を投げかけてから、山田は名残惜しそうに練習室に向かって走り出す。その姿を最後までしっかりと目に写す伊野尾をみて、有岡はまた、零れそうになる爆笑を必死で飲み込んだ。その姿に、伊野尾の眉間に皺が刻まれた。
「ねえ大ちゃん、なんの話してたの」
「言わないよー」
さすがに、こんな話はできない。笑いを噛み殺してうつむきがちに手を振れば、伊野尾は睨むようにじぃっと有岡を見つめ、有岡がいう気がないとわかると諦めて戻っていった。
遠ざかる伊野尾を背中を見ながら、有岡は口の中で、鈍感、とつぶやいた。
――1人で佇むだって？
罰ゲームでもないのにおデコや耳にキスだって？
運動嫌いのくせに筋トレに好き好んでついてくだって？
たまたま部屋の前を通りかかって朝までつきっきりだだって？
告白を、断らないだって？
「……はは」
――ああ、なるほど、とても、鈍感だ。
前途多難な恋に小さく笑って、有岡は空を仰いだ。
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琴葉(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます！矛盾しているその気持ちわかります。映画が終わった瞬間だとか、最終巻を読み終えた時だとか。薮くん視点やその後のお話、考えてみますね。時間がかかってしまうのですが、待っていていただけると嬉しいです。とりあえずただいまです。 (2018年5月22日 16時) (
レス) id: 3ce7e31af3 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - おかえりなさい。今更みたいになってしまいましたが。完結してしまったんですね。続きを読めて嬉しかったけれど終わってしまうと一抹の寂しさ。個人的には薮くんサイドのお話やその後のふたりも気になります。また落ち着かれたら新しいお話もお待ちしてます(^ω^) (2018年5月19日 20時) (レス) id: 85d71dbfbe (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - かほさん» こんにちは。受験、終わりました。応援ありがとうございます^^ (2018年3月7日 15時) (レス) id: 3ce7e31af3 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - ひなたさん» こんにちは。受験、終わりました！待っててくださってありがとうございます。今週中には更新するつもりです。遅くなってごめんなさいm(_ _)m (2018年3月7日 15時) (レス) id: 3ce7e31af3 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - このお話大好きです。受験、応援してます！ (2018年2月10日 20時) (レス) id: fb0730de71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琴葉 | 作成日時：2017年8月23日 12時
