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「そろそろ切らないと目にかかって目が悪くなるよ」
「さーすが、薮。着眼点がズレてるよねえ」
「いつも何かしらズレてる奴が何言ってんの」
「ひどい！最低！甲斐性なし！」
「うるさいし最後のは余計なんだけど。……あれ、」
「へ、なに…」
不意に黙り込んだ薮の顔がぐっと近づいてきて、反射的に口をぱくりと閉じる。彼の手が俺の耳に触れて、ざり…とした触感が伝わってきたと同時に顔全体に熱が集中していくのがわかった。そんないっぱいいっぱいの俺とは対照的に、薮は至って真剣な様子で訝しげな表情をずっと浮かべている。いきなり何なの訳がわからない。
「や、やぶ…？」
「ピアス開けた？」
「へっ？」
予想していなかった問いかけに、思わず素っ頓狂な声が上がってしまった。
「開けたけど…薮よく気づいたね」なんてさらりと答えたら、薮の顔がさらに険しいものに変わり慌てて訂正する。
「や、違うよ！クラスの子に勧められたからであって、俺の勝手な意思じゃないからね？」
「幾ら校則がゆるいからってハメ外しすぎて教師に目でも付けられたらシバくからね」
「やだなあ、そんなことしないって〜。ちゃんと節度はわきまえてるってば」
「どの口が言ってんだか」
そうやっていつも薮は俺のことを問題児扱いしてくるけれど、俺は別に特別チャラついている訳ではない。ピアスを何個も付けている子だって沢山いるし、むしろあの学校の中ではおとなしい方なのにと小さく口を尖らせると、どうだかと信じていないような口調でしれっと返された。
「痛くないの？これ」
「まあ開けるときは多少痛いですけど…普段は全然」
「へえ、」
何がそんなに物珍しいのか、そのままピアスに触れるようにしてスルリと耳元をなぞられる。ぞわぞわと押し寄せてくる小さな刺激に、たまらず俺は目を伏せた。
薮は俺に自然と触れてくることが多い。そう気づいたのは少し前のこと。さらに言えば、彼に強引に腕を掴まれるのも頭を鷲掴みされるのもさらりと暴言を吐かれるのも俺ぐらいで、「俺だけ扱いが雑じゃないか？」と愚痴を漏らした際、「陶器屋で買ったコップと百均で買ったコップとじゃ扱いが違ってくるだろ」と少しピントがずれた答えが返ってきたのは最近のことだ。 薮は無意識に無遠慮に俺に触れる。俺はそれがすごく悔しい。
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琴葉(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます！矛盾しているその気持ちわかります。映画が終わった瞬間だとか、最終巻を読み終えた時だとか。薮くん視点やその後のお話、考えてみますね。時間がかかってしまうのですが、待っていていただけると嬉しいです。とりあえずただいまです。 (2018年5月22日 16時) (
レス) id: 3ce7e31af3 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - おかえりなさい。今更みたいになってしまいましたが。完結してしまったんですね。続きを読めて嬉しかったけれど終わってしまうと一抹の寂しさ。個人的には薮くんサイドのお話やその後のふたりも気になります。また落ち着かれたら新しいお話もお待ちしてます(^ω^) (2018年5月19日 20時) (レス) id: 85d71dbfbe (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - かほさん» こんにちは。受験、終わりました。応援ありがとうございます^^ (2018年3月7日 15時) (レス) id: 3ce7e31af3 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - ひなたさん» こんにちは。受験、終わりました！待っててくださってありがとうございます。今週中には更新するつもりです。遅くなってごめんなさいm(_ _)m (2018年3月7日 15時) (レス) id: 3ce7e31af3 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - このお話大好きです。受験、応援してます！ (2018年2月10日 20時) (レス) id: fb0730de71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琴葉 | 作成日時：2017年8月23日 12時
