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「すごい…金粉ですか？」
「おっ、よく気づいたね。いくつ買ってくかい？」
「えーっと、じゃあひとつ……あ、やっぱりふたつで！」
口ではあんなにマズそうだの買わないだの言ってるけれど、意地を張っているだけで薮だって本当は食べたくて仕方ないかもしれない。
そんなちょっとしたサプライズを目論みながら、俺は手に持っていた五百円玉を財布に戻して千円札を取り出した。
「お待たせしました〜」
「えらく長かったな」
「近くに普通のりんご飴の屋台もあったんでついでに買ってきたの。家で食べ比べしようと思って」
「そんなに食べると太るよ？」
「りんごはフルーツだから大丈夫だし。…あ、そうだ」
俺は袋から赤い方のりんご飴を取り出す。それをそのまま薮の顔の方へかざした。
「……なに？」
「いやー、やっぱり薮には赤は似合わないなって思いまして」
「わざわざ自らシバかれに来たんだ？」
「違うし、りんご飴全般が似合わないんじゃなくて、赤が似合わないだけなんじゃないかなーって。だから大丈夫★」
「全然フォローになってないんだけど」
「あっ、これだよ！私これが欲しかったの！」
ふいに耳に入り込んできた声色はもちろん俺のものではない。見ると、学生カップルが先程のりんご飴の屋台で会話に花を咲かせていた。
「青いりんご飴？珍しいね」
「ね！キレイだよねー！」
「買ってあげようか」
「えっ！いいの？」
ほのかに頬を上気させながら嬉しそうに彼氏を見上げる女の子はとても年相応に見えて、ついついこちらまで表情が緩んでしまう。─と、ここでふと気づく。有名進学校の制服を着た薮。一方シャツブレザー姿の俺。傍から見たらどのような関係に見えているのだろう。
幼馴染み？兄妹？それとも恋人、だったりして。なんてね、どうせ友達としか思われてない。そんなことを自分で考えて少し落ち込む。
「段々混雑してきた」
「ああ、たしかもうすぐ花火始まるんだよ。早い人はもう場所取りしてるんだよね〜」
「折角だしちょっと見てこうか」
「えっ！？」
「そんな驚くこと？」
「や、だって…」
だって意外だったのだ。用事ももう済んだし人混みを好まなそうな薮のことだから、混んできたしそろそろ帰ろうか、なんて言い出すかと思ったのに。
「俺もそこまで鬼じゃないよ」
「へ、」
「りんご飴だけじゃなくてこっちも目当てだったでしょ。さっきからずっとそわそわしてたもんね」
「…さすが薮」
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琴葉(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます！矛盾しているその気持ちわかります。映画が終わった瞬間だとか、最終巻を読み終えた時だとか。薮くん視点やその後のお話、考えてみますね。時間がかかってしまうのですが、待っていていただけると嬉しいです。とりあえずただいまです。 (2018年5月22日 16時) (
レス) id: 3ce7e31af3 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - おかえりなさい。今更みたいになってしまいましたが。完結してしまったんですね。続きを読めて嬉しかったけれど終わってしまうと一抹の寂しさ。個人的には薮くんサイドのお話やその後のふたりも気になります。また落ち着かれたら新しいお話もお待ちしてます(^ω^) (2018年5月19日 20時) (レス) id: 85d71dbfbe (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - かほさん» こんにちは。受験、終わりました。応援ありがとうございます^^ (2018年3月7日 15時) (レス) id: 3ce7e31af3 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - ひなたさん» こんにちは。受験、終わりました！待っててくださってありがとうございます。今週中には更新するつもりです。遅くなってごめんなさいm(_ _)m (2018年3月7日 15時) (レス) id: 3ce7e31af3 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - このお話大好きです。受験、応援してます！ (2018年2月10日 20時) (レス) id: fb0730de71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琴葉 | 作成日時：2017年8月23日 12時
