物の怪憑き その壱 ページ8
寮の動く能面事件があってから、かれこれ二週間目のある日、いつも通りに学校終わりに鞄を寮の自室に置き、バイト先の興信所に顔を出しに行った。階段をあがり、二階の事務所から顔出しをしたスキンヘッドの新田見さんに「こんにちはー。」と挨拶をして三階に上がり、興信所の戸の前まで来て、戸を開こうとすると、興信所の中からゴトゴトゴトッと何かが暴れてるような音がしてビクッとして、一瞬固まったが、思いきって戸を開けるとそこには、中学生ぐらいの男の子を押さえつけてる僕の霊媒の師でもある先輩がいた。はたから見ると犯行現場のようにも思えるが、その男の子顔を見てまた硬直してしまった。目は耳の辺りまでつり上がり、舌をだし、獣のような唸り声をだし、口から、人間がこれだけの量を出すのかと言わんばかりの唾液を出してジタバタもがいているからである。と、お師さんの翡翠先輩がこっちを見て一言、「ガムテープ持ってこい。」と僕に言った。数分後、ガムテープで身動き出来なくなった中学生の少年。よくよく見るとソファーには、お坊さんが座っていたのである。そして、先輩が、向かいのソファーに座り直してから口を開く。
翡翠「なるほど、こういうことですか。いつからこの状態に?」
坊「はい、だいたい三日前ぐらいですかね。友達と一緒に山でキャンプをして帰ってくるなり、唸り出して。」
翡翠「どの山で?」
坊「遠出をすると行ってましたので……えっと確か……船岡山と言っておりました。」
琥珀「えっ?船岡山って京都にある山じゃ……」
翡翠「随分遠くの方にキャンプに行ったんですね。子供だけじゃないですよね。」
坊「はい。友達の親と一緒にということだったので、子供だけじゃなかったと思います。」
暫く先輩は、考え込むように俯いてたかと思うとふと何かを思い付いたようにスマホを取り出し何処かにメールを送り出した。数分待たずしてメーカーの返信がきたかと思うと「……成る程な。」と頷きながら、顔をあげこう訪ねた。
翡翠「息子さんは、何か冷蔵庫の物を漁ったり夜中を徘徊していないですか?してないなら、口に何かの死骸を加えていませんでしたか?」
坊「あっ!!そういえば、寺で供養をするための鳶の死骸を口に加えてました。夜中の冷蔵庫の漁りはしていません。徘徊は、しているみたいですが。」
翡翠「他には?」
坊「他は……お経のようなものを唱えていたぐらいです。夜中の徘徊繰り返しているときに。まだ、教えてないのに。」
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作者名:水神 竜聖 | 作成日時:2017年7月4日 21時