74,風の寂しさ ページ28
律花サイド
ピーッと甲高い音が白い部屋に浸透していく。私はその白に埋もれたくて、ベッドに顔をうずめた。
布団の上は朝方の空気に当てられたせいかひんやりと冷たい。布団の中にはまだ温もりが残っているはずだけど、それも風化してしまうのだと思うと怖くなった。
おばあちゃんがいた優しい空気は、もうどこにも存在しなくて、消えてしまったのかな。もう、触れることはできないのかな。
……
次第にあやふやになっていく視界を見つめながら、居るはずもない誰かに語りかけていたその時。
ガラガラッという音が私の目を刺激して、ゆっくりと顔だけをドアへ向けた。お姉さんがすたすたと歩いてくる。受け付けの人ってこういう事しないんじゃないの？
受「律花ちゃん、起き上がれる？」
不安そうなその顔を見て、心が覚めてきた。
『はい、大丈夫です。心配をおかけして、すみません。』
ベッドの
『書類とか、必要ですよね。行きましょう。』
入り口に向かって歩き出すと、お姉さんもおばあちゃんに背を向けて私の後ろを着いてきた。そこで、初めて見慣れた姿が目に留まった。歌い手だ。
急に、体が熱くなって鼻がツンとしたけれど、視線を逸らして通り過ぎた。今は、まだダメなんです。
今話しかけたら、きっと私は戻れなくなってしまう。ごめんなさい。あと、もうちょっとだけ。そう断って、蒼く染まっている壁に身を寄せた。
その後ろにいた人たちにも軽く会釈をして、私は前に一度だけ来たことのある受け付けの裏へと足を踏み入れた。
続く (更新停止中)
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ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！(´;ω;｀) (2022年4月27日 13時) (
レス) @page28 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！(´;ω;｀) (2022年1月13日 22時) (レス) @page28 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
篠月(プロフ) - 70話は先の話（72話時点で）に少なからず関係してくるので、中身については触れられませんが……これからの話が、R.rさんの心に何かを与えられることを願って、今後も更新頑張っていきます。 (2021年4月10日 17時) (レス) id: b07d15d446 (このIDを非表示/違反報告)
R.r - 私７０話の最後らへん共感します。「私なんて・・・」ってよく思うんですよねー（やっば。えっ・・・病んでるの？） (2021年2月27日 18時) (レス) id: ba078f980a (このIDを非表示/違反報告)
R.r - やっぱ篠月さんって面白いですね。 (2021年2月27日 18時) (レス) id: ba078f980a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：篠月 | 作成日時：2020年10月20日 20時
