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ペタペタペタ



静かな夜の病院に響くサンダルの音。



ペタペタペタ


ガラガラ



扉を開けた黒髪の男は眠るAの髪をあの日のように撫でた。



「まだ、目が覚めないの?A。」



その声は静かな病室に響き渡る。



「もう、いっそのこと本当に眠れば良いんじゃない?」



そう言った男はAの首元に両手を掛けた



掴んだ首は今にも折れそうなほど細い。



「A、みんな変わってしまった。」


そう言いながら徐々に手の力を強めようとする男。


「お前も俺を置いていくのか…」


だが、その男の手は首元で震えるだけでそれ以上動くことはなかった。



「何か言ってくれよ…Aっ…」



静かな部屋に響くのはその男の声のみだ。



『私はここにいるやんか。』



「えっ…」



そんな声が聞こえた気がして彼女の顔に目を向けるが目を瞑ったままであった。



「嫌な空耳だな。」




そう言った男はまた、静かに病室を後にした。

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作者名: | 作成日時:2021年9月24日 20時

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