液体 ページ12
私の顔からは血の香りがする。
その血をたどればヒューヒューっとどこからか空気が漏れている音がだんだんと強くなる。
『兄上...?』
「ご...めん。一人にして...」
その声はかすれており消えてなくなりそうだった。
『兄上!!!!兄上!!!!一人にしないで!!!!』
だがその声には何も返事が来なかった。
『うわあああああん!!』
しばらく兄上の亡骸を抱いていると騒ぎを聞きつけたのか育ての方が走ってきた。
そこからの私の記憶は朧げだった。
その次の日から私は育てに頼み込み鬼殺隊に入るため死ぬほど鍛錬を積んだ。
鬼殺隊に入り、しばらくしてから師範である悲鳴嶼さんのことを知り、継子として育ててもらったのだ。
『今でも私は血の香りが苦手です。兄を思い出してしまう。』
その言葉に天元は静かに口を開いた。
「思い出してもいいじゃねぇか。むしろ忘れず胸に叩き込め。そしてこれからも強くなるために努力すればいい。」
その言葉に見えない目を見開く。
『ありがとうございます。これからも天元のいう通り努力を惜しまず精進します。とても心が軽くなりました。』
「きれいな目をしてんだ。ちゃんと見えるようになるように俺もAの目を奪った鬼を探す」
『私の目って何色ですか?』
そういうと彼はくすりと笑いながら答えた。
「俺と同じで派手に綺麗な色だ」
『え...色を聞いたんですけど』
「目が見えるようになったとき、俺の目をみて確認すればいい。俺は派手な色男だしな!!!」
『それって自分で言っちゃいますか?」
クスクスと笑いながら答えると天元も一緒にわらった。
(新しい楽しみができたな...)
目のことは半ば諦めていたが天元を見てみたいという気持ちがとても大きくなった。
『その時は楽しみにしていますね。天元。』
そんな話をしているとだんだんと日の入りが近づいてきた。
『私は任務があるのでこれで失礼しますね』
天元にそう伝えると彼は立ち上がり私に向かってこう言った。
「生きていたらまた手合わせするか!ってか今度うまい定食屋に連れて行ってやるよ!」
『約束ですよ?私は死にませんからね?』
「俺もだよ!」
天元が帰って行ったあと、師範に任務のことを伝えて家を出た。
今日も私の命がけの日々が続いていく。
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凛(プロフ) - あゆさん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございました! (2021年3月8日 16時) (レス) id: 4194e7bbca (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - とても楽しく読めました (2021年3月8日 16時) (レス) id: 4ea86db667 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛 | 作成日時:2021年2月14日 15時