オレだけがハッピーエンド【東雲彰人】 (ページ33)

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傷が33こページ33

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「…泣き止んだ？」

「まだ、です…」

まだ泣くなら離れろ、と冷たい言葉を貰った俺は大人しく先輩から離れる

はー…泣いてる間に昼休み終わりそう…

先輩は隣で暇そうにスマホをいじり始めたが、思い出したようにこう言った

「屋上、ドアの前でゴミが気絶してるから行けないんだよね」

「あー…」

やけに静かだなとは思ったけど気絶してたのか確かにアイツ降りてきてねえもんな

「そういや先輩、殴られたとこ大丈夫ですか？」

「え？全然痛い内出血してそう」

「じゃあ保健室行きましょう今日先生いなかったはずだからついでにそこでサボれますよ」

わかりやすく腫れている頬を見て放置するほどオレは酷くない

先輩なら尚更だ

「…東雲くんが手当してくれんなら行く」

「全然やります」

「じゃあ早く顔洗ってきて」

まだちょっと泣いてるけどこれくらいなら顔洗ってるうちに止まりそうだ

知り合いには流石に見られたくないので人気の少ない水道で洗う

軽くハンカチで拭き、少し濡れた前髪を軽く整えてから先輩の所へ向かう

「…東雲彰人くん？」

「えっと…そうですけど」

少し行った所で知らない女子に話しかけられる

見たことないから、1年では無さそうだな

「単刀直入に言う Aちゃんと、別れて欲しいな」

「…先輩の彼女さん、ですか？」

顔が引つっているような気がする上手く笑えてるか？

「うーん…彼女ではないけど少なくともあなたよりはAちゃんと仲良いかな！
まあはい別れます〜って言うほどキミは軽くないだろうし
そうだね、取り引きしよう」

「取り引き？」

「東雲くんがAちゃんと別れてくれるならキミの好きなところどこにでも着いてってあげるしして欲しいことがあれば何でもするああ、お金でもいいよいくらでも
でも別れてくれないなら…そうだなキミのこと、殺してしまおうか♡」

笑顔を崩さずオレが話す隙も与えず彼女はそう言った

殺すなんてハッタリに決まってる

けどどことなく本当なのではと思う雰囲気があって

こいつのために別れるほどオレの好きは軽いもんじゃない

でももしこれを拒否したらオレはどうなってしまうのか

「…今すぐに答えを出せとは言わないそうね、1週間くらいなら待ってあげる
私は2-Aの羽宮こころじゃあまたね」

昼休みの終わりを告げるチャイムがなる

すれ違いざまに匂った香水はとても甘ったるかった