『拝啓、いつかの貴女へ』Ⅱ (ページ9)

今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:5,335 hit

３９話《優しい夢》前編ページ9

夢を見た。そよ風が頬を撫で涼しげな木陰で本を読んでいる。
誰かがやってきて、隣に座るとわたしは凄く嬉しそうに笑った。
お互いに見つめ合い手を繋いだとき、手についたブレスレットが輝いた。

『…夢か。凄くいい夢だったなあ。』

赤『ホォー。そんなにいい夢か、俺も見たかったな。』

『しゅ、秀一さん？！』

いつからいたんだろう？

赤『寝てる間もずっと手を握ってやってた。なかなか寝れなくてな。痛かったか？』

『そんなことないですよ！おかげですごくいい夢が見れましたもの。』

そう言って笑うと、頬を掻きながら“そうか”と呟いた。

赤『今日は俺が作ったから着替えてキッチンにおいで。』

『はい！』

秀一さんの料理はすごく美味しい。
わたしももっと上手にならなきゃ。

赤『今日は、あってほしい奴らがいるから、出掛けるぞ。』

『え、うん。わかった。どんな人？』

赤『お前に会いたがってる人だ。』

わたしに会いたがってる？
そう思ったとき金髪の女性が脳裏に浮かぶ。そして、外国人の髭の生えた男とガタイのいい男が浮かんで消えた。

多分この人達に会いに行くのかな。
頭痛を我慢しながら秀一さんの後に続き車に乗り込んだ。

赤『着いたぞ。この喫茶店で待ち合わせしてるんだが…。もう来てるな。全くどれだけ早いんだ。』

ぶつくさ言いながら降りてわたしの方のドアをわざわざ開けにきてくれた。

『あ、ありがとう。っきゃ！』

赤『ちょっとだけじっとしててくれ。』

『こ、これはちょっと。』

赤『恥ずかしがることじゃない。恋人同士だからな。』