＊ ページ21
｢あの後、道化師のテントで僕の名前が書かれた手紙を見つけた。分かる範囲でだろうが、僕の爵位や屋敷の所在地、軽い生い立ちまで書かれていた」
ゴホゴホと咳き込む。
｢差出人は」｢貴方、3cm私の私有地に踏み込んでいます」
テント内を歩くシエルの足元が、ウィリアムとセバスチャンが決めた互いの境界線に踏み込んでいたらしい。死神の鎌で足元をつつかれていた。
3cmとなんとも言えない数字ですらウィリアムは嫌らしく、この事からも彼の細さと悪魔への嫌悪感が分かる。
｢互いに決めた住み分けも出来ないとは、犬が犬なら飼い主も飼い主ですね」
嫌な言い方にシエルはカチンとするも、言い返したりはせずに、場所を変えると言って外へ出て行った。
｢＿で、差出人の名前は笛吹の息子トム」
｢笛吹の息子トム？」
｢それって、マザー・グースの？」
｢ああ。その意味はわからんが...ｹﾎ
そして封蝋には馬の刻印とkのイニシャル」
咳だけでなく、体が震え出している。
｢笛吹の息子トムは、馬を冠する家紋を持つ者。馬がデザインされた家紋を持つ者はナイトに叙勲されている者や軍人が多い。ｺﾞﾎｯ 一概にそうとは言えんが、慈善活動家となるとある程度の身分がなくては不可能だろう。紋章は全て紋章院に登録されている ｺﾞﾎﾝ。これだけ条件が揃えば、登録数がどれだけ多かろうが調べがつくはずだ ﾋｭｰ」
呼吸音に混じり、喘鳴が聞こえてきた。
Aはそれに聞き覚えがあった。昔、まだ自分たちが幼かった頃だ。
｢消えた子供、サーカス、笛吹の息子トム ｾﾞｰ。
そして僕 ﾋｭｰ。それらのピースを繋ぐのは一体 ｺﾞﾎ」
Aは確証がないものの不安はぬぐえず、彼に聞こうと肩に手を置いたときだった。
｢一度町屋敷...どうした？ｹﾞﾎｯ」
｢その咳と呼吸、もしかして」｢ｺﾞﾎｺﾞﾎ ﾋｭｰ」
喘息なのかと聞こうとした時だった。
シエルの体は限界だった。咳が強くなると同時に、嘔吐してしまう。
｢！」
膝から地面に崩れ落ち、嘔吐しつつも咳は止まらず、呼吸の合間に喘鳴も聞こえてくる。
｢坊ちゃん！坊ちゃ」｢スマイル！どうした、オイ」
騒ぎを聞き付けたのか、ソバカスがやって来た。
意識が混濁しているシエルを見て、ソバカスは先生に伝えてくると走って向かい、その後をセバスチャンがシエルを抱き抱えて着いていく。
＿＿ッ...
慌ててAも着いていくが、胸の中は不安でいっぱいだった。
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向日葵 - 更新されてて嬉しくて一気に読んじゃいました！お忙しいとは思いますが、続き楽しみにしてます！ (4月16日 2時) (
レス) @page34 id: cb9e52fa3f (このIDを非表示/違反報告)
玉ねぎ(プロフ) - 続きください！楽しみにしてます✨ (3月4日 21時) (レス) @page25 id: 42fa138aff (このIDを非表示/違反報告)
しゅな(プロフ) - 更新ありがとうございます！( ；__；)大好きです！すごい面白い展開で、楽しみです、、！応援してます！ (2月1日 0時) (レス) id: 4012986507 (このIDを非表示/違反報告)
心美 - 最初見たときびっくりしましたよ！私の名前と全く同じ〜なんか嬉しいです！続き楽しみにしてます。 (7月23日 10時) (レス) @page7 id: b5a6a9d7fe (このIDを非表示/違反報告)
あられ - えー！！ここで終わってしまうの勿体無いです…更新される日を待ってます… (2022年11月3日 23時) (レス) @page8 id: 71a4ce2144 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SHION* | 作成日時：2021年11月23日 0時
