8話 ページ9
〜子ギル視点〜
無事シャドウ・サーヴァントを倒した僕はマスターの居場所へと戻っていく。
どうしてか嫌な予感がしたので、駆け走しでマスターの居場所へ急いで向かうと案の定、マスターは何故か高い位置から急降下、何があったのか分からないが宝物庫を展開させ、鎖を放つ。
乱暴にはなってしまったが落ちなくて良かった、鎖がマスターに巻き付くと同時に僕は引き寄せる。
そして、受け止めて。
「……っと、マスター大丈夫ですか！？ごめんなさい…僕がいながらマスターを危ない目に合わせてしまい…本当に申し訳ありませんでした」
僕はマスターの顔を覗き込めば、すぐ様謝罪を口にした。
すると、何故か驚きの表情を見せながらもマスターは左右に首を振る。
「…ぁ、えっと、大丈夫です…私が無謀だっただけでアーチャーは悪くありません…助けてくださりありがとうございました」
体勢を立て直したマスターは深々と頭を下げ、僕と同様に謝罪を口にする。
その返答や言動に、僕もまた驚いてしまう。
警戒を怠らせた僕が悪いというのに、マスターは眉を伏せては申し訳なさそうにしている。
サーヴァントはマスターを守る役目がある、そんな当たり前の事も行えてなかったのは自分だというのに。
「マスターが無事ならいいですよ、…けど次からは無茶しないでください、危ないと思ったら令呪を使ってでも呼んでくださいね」
そんな様子のマスターに何故か気まずさを覚えた僕は咄嗟に出た言葉がそれだった。
顔色一つ変えずにマスターは頷くと胸元に手を当て、決心したかの様に再び頷けば、
「…ぇと、それじゃあ、戻りましょうか」
と言葉を溢したのだった。
何と言えばいいのだろうか…何故か気まずい。
けれど、本当に無事で良かった。あと一歩遅かったら、マスターは還らぬ人となっていただろう。
間に合っていて良かった、二度とこんな目に遭わせないよう心掛けようと思う。
「何か……感じる？」
「感じる？……気配か何かですか？」
「は、はい…何というか、薄らと？感じたり感じなかったり…」
唐突で曖昧な応え。けれど僕はそれを不安に思い、辺りをじっと舐めまわすように見詰める。
けれど、やはり何もいない。気配すら感じなかった。
「勘違いだと思いますよっ…！？」
そう、言葉に発した時に強く何かに押される。
振り向くとそこには焦り顔のマスターと、マスターの背中付近に突き立てられた刃が光るのが目に見えて。
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作者名：莉愛 | 作成日時：2017年9月13日 3時
