6話 ページ7
サーヴァントがいるとは思わず、私は少し警戒している。
アーチャーがいるから、平気だとは思うけど……油断は禁物だ。慎重に行動しよう。
私達は黙々と向かう、一言も会話を交わらせることなく目的地に着いた。
気まずいかと聞かれればそうだけど、無理に関わる必要は無い。最低限の事をこなせればそれでいいと、思っていた。
ようやく目的地に着く、がしかし辺りに敵の姿は無かった。
「いな、い…？」
「いえ、姿を消しているだけかと。……来ますよ、マスター」
アーチャーの言葉が合図かのように、次々とゴーレムが溢れ出てくる。
気づいたら四方を囲まれてしまっていた。けれど頑張れば一人でもぎりぎり対処できそうではあったので、アーチャーにはサーヴァントを任せる事にした。
「アーチャー、ここは私に任せてサーヴァントをお願いします。
ここに来られては面倒なので」
「ですが…いえ、了解です」
一瞬私の言葉に躊躇うアーチャーではあったが、静かに頷けばそれを了承しサーヴァントの居場所へと向かって言ってくれた。
掌に握っている宝石を数個、四方にいるゴーレムに向かって投擲。
途中、何気なく溢れた呟きの様なものは彼に届いただろうか。もう既に姿は見えなくなっている。
どうか、無事であります様に。
内心でささやかな願いを呟きながら、私は肉体強化、一時的身体能力を上昇させる。
並外れた攻撃でなければ防げる肉体強化はとても便利だ。
今は一人だし、派手に動いても大丈夫なはず。
私は投擲した宝石が消えるや否や一番動きが鈍い且つ比較的小さなゴーレムに向かって拳を突き出す。
そして触れるや否や『
その後も同じ方法でゴーレムを破壊していく。
しかし数に限りがない、倒しても倒しても減る気配が全く無かった。
疲労感が体を襲い、少し重く感じる。
これ以上長引かせるのも危険だ。
私は魔力で構成された階段を作り出す。
より多くのゴーレムを消滅させる為にできるだけ範囲を広くするよう高い位置まで階段を作り続けては登っていく。
登っている最中ゴーレムに邪魔されるが何とか回避し登ってみせた。
私は向き直れば瞳を閉じ、意識を研ぎ澄ませ幾つか魔法陣を出現させた。
これは、とあるサーヴァントの魔術の真似。
真似事ではある為、あまり強力ではないけれど。
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作者名：莉愛 | 作成日時：2017年9月13日 3時
