思い出すのは、いつも (4)【黒尾鉄朗】

十月 ページ31

七月


たぶん人生で

一番ため息をついた一ヶ月だったんじゃないかと思う。





八月


仕事はまだまだ大変なことは多かったけど

それでもずいぶん慣れて、

それに比例してため息も減った。





九月


仕事はずいぶん落ち着いた。

だけど、またため息が漏れる日々





…………はぁ





元彼


…………あぁ、もう元々彼か



ってどうでもいいや。




とりあえず、初代元彼の件で



恋愛って怖いって思ったし、


もうあんな思いしたくないし、


信じるなんて無理って思った。





だけど、黒尾さんのことは

安心して好きになれた。





だけど、やっぱり

無理だった。





初めて早退した次の日


初めて会社を休んだ。



それもズル休み





ごめんなさい。



だけど、無理だった。




体も頭も重くて


どうしようもできなかった。





ただ次の日



出勤すると

溜まりに溜まった一日半分のメールを見て



ズル休みは、最初で最後と決めた。





そして、もう泣かない。



と。





それからは淡々と毎日を過ごした。





黒尾さんのことでもう泣かないって決めて


あれから一ヶ月





ちゃーんと自分との約束を守れてる。



突然、どうしようも無い虚しさと寂しさに

襲われることもあるけれど


アキくんに相手をしてもらってやり過ごした。





アキくんはどうしようもない私に

泣いていいよって言ってくれたけど


そこでもちゃんと、我慢した。





ただ、なかなか眠れない日々が続いている。





黒尾さんのことは考えないように努めている。



だけど、なかなか努力は実らない。





眠れない夜は、永遠と

黒尾さんのことを考えてしまう。





ものすごく、しんどい。





ただ、毎日朝は来る。



それに、ホッとする。





世界が終わってしまえ


なんて。



物騒なことはもう考えない。





ただ、一日が過ぎていくことで



黒尾さんとの日常が思い出に変わって、




そのうち。




あんなこともあったな、って。



懐かしくなる日が来るんだって

それだけを信じて。

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