ミント色の髪の子は麦わら海賊団でした (ページ2)

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2.無知ページ2

これからの希望に輝く瞳、癖の目立つ黒い髪、なにより特徴的な麦わら帽子を潮風に拐われないように片手で押さえながら、少年は笑った。

「おまえ、おれの仲間になれよ！」

　少女は目を瞬かせた。期待に胸が高鳴る。

　少女は差し出された彼の手をとり、木製の船へ乗り込んだ。それがフレトゥム・D・Aと未来の海賊王の出逢いだった。

＊
＊

(失敗だっかもしれない…)

　Aは岩に当たって砕けた樽の中から這い出た後深くため息をついた。本来この樽は縄でもう一方の樽と繋がっていたのだが、その樽は見当たらない。

(失敗だった)

　Aはまたため息をつき、これまでの経緯を思い出す。

　Aはつい先日海賊になった。身体一つで海に出たのだ。その前までは一人地図にも記されていないような小さな島で生活していた。その生活を壊したのがもう一方の樽に入っていた少年モンキー・D・ルフィである。

　海賊として旗揚げしたばかりだという彼は先日Aのいた島を訪れ――というよりは流れ着いて――彼女を仲間に誘った。生まれてから一度も娯楽の少ない島から出たことのなかったAにとって、それはとても魅力的な誘いだった。

　Aはルフィの手を取り船に乗り、そして早速海を進み、大渦に遭遇し今に至る。

Aはルフィとの会話を思い出した。

『やっべぇ大渦だ！よし、樽に入ろう！』

『なんで？』

『だって、おれら二人とも泳げねぇじゃねぇか』

『そうだけど…』

　そう話しているうちに船はさらに渦中に進み、仕方なく二人はそれぞれの樽に入った。はぐれないように樽同士を縄で繋げて。

　Aは千切れた縄を見る。脆く千切れたせいですっかり離ればなれだ。

(…ともかく、ルフィと合流しなきゃ。きっとこの島のどこかにいるはずだ)

　Aは服についた土を払うと、船長を探すため島の奥へと進むことにした。この島のなだらかな入り江に、海賊船が止まっていることにも気づかないまま。