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まだ、竹谷さんの気持ちが変わってないなら。

「私と、仲良くなってくれますか?」
「・・・いい、のか?」
「美味しいものとか、何もないですけど」

そう言うと、竹谷さんはぶんぶんと首を振って笑った。

「んなもんいらねぇよ!ありがとな、A!」
「竹谷の方は解決してみたいだな」
「A、こいつはどうする?」

立花さんが、親指で七松さんを指す。

「七松さんは、私のことを思って竹谷さんに頼んでくれたんですよね?」
「・・・すまん、余計なことして」

しゅんとした七松さんは、まるで飼い主に怒られた大型犬だ。

「気を遣わせてしまって、すみません」
「・・・許してくれるか?」
「はい」

瞬間。
ぱっと笑顔になった七松さんに飛びつかれ。
私は、床に倒れ込んだ。

「おい、小平太!」
「何すんだ、離れろ!」

驚いた潮江さんや留兄に引き剥がされても、七松さんは笑顔のままで。

「ありがとう、A!」

そう叫んだ。

「ありがとうじゃねぇよ、お前Aが怪我したらどうすんだよ!?」
「落ち着け留三郎、ただ抱きついただけだろう」
「それが問題なんだ!」
「・・・うるさい」
「うるさくしない方が無理だろ長次!」

留兄の怒りの矛先が、先輩達に向く。
呆然とその様子を見ていると、善法寺さんが横にしゃがみ込んだ。

「大丈夫?どこか打ったりしてない?」
「あ、はい・・・平気です」
「そう、良かった」

ふわりと微笑んで、善法寺さんも留兄を宥めに行く。
一気に賑やかになった空気に、なんだか入って行けなくて。
座り込んだまま目の前の騒ぎを眺めていると、肩を突つかれた。

「Aちゃん」
「・・・不破さん?」

不破さんの後ろに、尾浜さんと久々知さん。

「ごめんね」
「・・・はい?」
「僕達も、焼き肉の話に乗っちゃって」
「・・・あぁ」

食堂で聞いた話を思い出す。
不破さん達も、私と仲良くなれば焼き肉に行けたのだろう。

「むしろ、盗み聞きしちゃってすみませんでした」
「Aちゃんは悪くないよ」
「俺達、Aちゃんの気持ちとか何も考えなくて」
「傷つけて、ごめん」
「気にしないで下さい」
「それでね」

柔らかく笑う不破さんに、悪意は見られない。

「改めて、僕達もAちゃんと仲良くなりたいんだ」
「・・・私で、いいんですか?」
「Aちゃんがいいんだよ」

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YATEN - すごい面白かったです!続き待ってます (2018年8月12日 16時) (レス) id: 43fd79bf09 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なりがし | 作成日時:2015年8月3日 10時

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