ライバル ページ10
士郎)あはは…ごめんねしのちゃん、思わず意地悪しちゃった
しの)マジで性格悪ぃよ…
面白そうに笑いながら軽く謝る士郎にしのはぶすっと口を尖らせたままだ。
風丸)…そろそろ俺達は部屋に戻るか
A)え、もう帰っちゃうの?
風丸の一言にAが分かりやすく眉を下げて悲しげに見つめてくる。
風丸)…お前も風呂とか入りたいだろ?それに監督やに久遠コーチに見つかったら面倒になるだろうし
一瞬「まだ居る」という言葉が出そうになるが必死にその言葉を飲み込む風丸。
A)そっかぁ…皆には怒られて欲しくないから我慢する…
口をへの字に曲げ俯くAにギュン、と胸がときめくふぶきやまる。
しのを除く3人は部屋を出ようとする…が。
しの)あ、タツヤ残れよ
タツヤ)…え?
しの)話したいから
タツヤ)…だったら談話室でいいだろ?わざわざAの部屋じゃなくても
しの)えー!移動するのダルいから無理ッ!
「ヤダヤダ!」と我儘を言うしのに困った表現を浮かべるタツヤにAが助け舟を出す。
A)私ならいいよ?こんな時間まで寝てたから全然眠くないし、お風呂も秋ちゃん達が入ってるだろうし
「ねっ!」と2人に言いくるめられたタツヤには、部屋に残るという選択肢しか残されていないようだ。
風丸)じゃあ俺達は部屋に戻ってるな
士郎)おやすみAちゃん、しのちゃん、基山君
A)うん、しーくんも風丸くんもおやすみなさい
「またこうして話そうね!」というAの言葉に続き、しのとタツヤも2人におやすみと告げると2人は部屋を後にする。
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Aを部屋を去り廊下に出た風丸と士郎。
士郎)…基山君ってさ
風丸)ん?
2人で部屋に戻る中、自動販売機で飲み物を買おうと立ち寄っていた時、士郎が口を開く。
士郎)絶対にAちゃんの事好きだよね
予想していない士郎の言葉に、風丸は口にしてい飲み物を思わず吹き出しそうになった。
風丸)…っ突然何だよ
士郎)ごめんごめん、でも風丸君にもそう見えなかった?
風丸)………
見えなかった、とは言えない風丸。
タツヤがAを見ている目は自分と同じものだったからだ。
士郎)やっぱりそう見えたよね、ライバル多いなぁ……
無言のままの風丸の答えをYESと捉えたのだろう。
士郎は頬に手をつきながら遠い目をする。
風丸)ライバルって…
士郎)風丸君だって同じでしょ?
チラリとこちらを覗き込む士郎の目から、風丸は逸らせなかった。
風丸)お、俺は……っ
風丸は何かを言おうとするが、それ以上の言葉は出てこないのか。
顔を赤くしながら口ごもってしまう。
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作者名：39 | 作成日時：2023年5月20日 1時
