ふぶきやまる ページ9
しばらく3人は互いを見つめ合う……いや、花火が散っている気もする。
そんな3人の様子に全く気付かずに、Aの頬には満足そうな笑いの皺がにんまりと刻まれてる。
するとそこへ。
しの)Aちゃ〜ん、起きてる?
扉の前からしのの声が聞こえてきた。
A)あ、起きてるよ!鍵空いてるから入ってきて
しの)んじゃお邪魔しま〜す……っお?珍しー!
部屋に入るなり、周りに花が舞っている雰囲気のA。
そんなAとは対照的に、不穏な空気を漂わせている3人が自然としのの目に入り面白そうに顔を綻ばせる。
しの)ふぶきやまるが揃ってんじゃ〜ん!
しの)(取り合い合戦も始まってるし!!)
によによと歓喜の声をあげるしのに4人は揃ってこてんと首を傾げる。
タツヤ)ふぶきやまる…?
しの)しのがつけたあだ名!風丸先輩は若干無理矢理だけど…語呂良いっしょ!!
ふんすと胸を張りドヤ顔をするしのに3人は呆れたように乾いた笑いを零す。
A)確かに…!しのすごい!
だが、Aだけは違ったようでパチパチと手を叩き褒めていた。
しの)でっしょー!A分かってるぅ!!
風丸)病人の前で大声出すなよ
褒められて調子に乗るしのに風丸が軽く頭を小突く。
しの)え〜我ながら傑作だと思うのに…士郎、場所変わって!
風丸に小突かれた頭を大袈裟に抑えるながら、1番Aの近くに座っている士郎へと声をかける。
士郎)うーん…やだ
士郎はわざとらしく考えたふりをすると可愛らしい笑みを浮かべながらスッパリと断る。
しの)ケチ!!今日A不足で吸いたいからどいてよおー
ぶぅ、と頬を膨らませて士郎を睨むが全く効果は無いようだ。
士郎)へぇ、僕もAちゃん不足だから…ねっ?
A)わっ!……もう、しーくんってば…
そう言うと士郎はAをぎゅうっと優しく抱きしめる。
突然の事に驚くもののAも嬉しそうに抱きしめ返す。
風丸・タツヤ)っ…!
…そんな2人の行動を良く思っていないのか。
風丸とタツヤはあからさまに顔を歪ませ、やり場のない不満が体の中を駆け巡る。
しの)あぁ!ずるいずるいぃ!!
しのが士郎とAを引き剥がそうとするが、かなり強く抱き締めているのか全く離れない。
風丸)…吹雪も、いい加減に離れろよ
いつもと違い少し低めの声で風丸が2人を引き離す。
士郎)あーあ…怒られちゃった
風丸に引き剥がされたからか不満そうな顔をするものの、その雰囲気は嬉しそうだった。
タツヤ)……
そんなやり取りを見ながら、タツヤの胸はもやもやとしたものが鬱積する。
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作者名：39 | 作成日時：2023年5月20日 1時
