一緒に ページ50
充)…本音聞いてガッカリしました?残念ながら俺はこういう奴なんです
充)俺の言う通りにしない先輩がいけないんですよ、アンタが俺に構ってる間はちゃんと先輩を慕う後輩を演じてやろうと思ってたのに…
心の内まで全部暴露した今の一星の目は真っ暗な闇に染まっていた。
…誰のことも信じていないということが見てとれる。
その目はとても見覚えがあるものだった。
充)…優しい先輩なら、俺についてきてくれるって期待してたのになあ…
だが、露骨に溜息をこぼす一星に怯むことなくAは反論した。
A)…私はね、あなたにどう思われてたって構わないしあなたがどんな人でも構わないって思ってるよ
充)…どうしてまだそんなこと言えるんですか
A)私はあなたを仲間だって思ってるから
充)…は…?
「正気か?」と言いたげな表情を見せた一星。
A)…だから言わせてもらうけど…もし、もしもだよ?あなたが誰かを傷つけるような事をしているのなら…それだけはして欲しくない
充)……先輩には関係ないですよ
A)…私はね、あなたとも…これからも一緒にイナズマジャパンのメンバーで居たいの
充)………………
"一緒に"…その言葉に一星の鼓動が激しくなる。
A)「皆で一緒に強くなろう」って言ってくれた人がいたの、その人が言うように私はこれからも皆で一緒に成長して一緒に世界に行きたい
充)…っ
A)”皆”の中にはもちろん一星くんも入ってる、一星くんも一緒じゃないと駄目なんだ
充)……い…
A)え?
充)うるさいッ!!みんなみんなって…今さら何だよっ!さんざん期待させといて…そんなに俺を特別扱いしたくないんですかッ!?
一星は自暴自棄になって声を荒らげる。
そんな一星に対し怯んでしまう…。
だが、ここで怯んだら何もかもが終わりだ。
A)…知らず知らずの内に期待させちゃってごめん…!でもっ
充)謝るくらいなら最初から俺に優しくなんてしないで下さいよッ!!
A)あなたを放っておけない!!
充)!?
A)…私は皆が大切、でも一星くんだって同じくらいかけがえのない大切な仲間なの!仲間に上も下もないの!
一星は真っ直ぐ過ぎるAを前に絶句した。
充)……も、もういいです!話になりません!
一星は痺れを切らしてベンチを立ち上がるとAに背を向けて歩き出す。
A)どこに行くの?
充)出掛けるんです!放っておいてくださいッ!!
一星はAから逃げるように去っていった。
私服だったし何か用事があるのだろう。
これ以上時間を取らせるわけにもいかない。
一星の背が小さくなっていくのをAはただ見つめていた。
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作者名：39 | 作成日時：2023年5月20日 1時
