みんなと ページ49
私服の一星はAと目が合うなり顔を背けた。
A)一星くん…どこか行くの?
充)……さあ、どうでしょうね
一星は冷たく言い放つ。
さっきの事を怒っているようだ。
A)…さっきは置いて行っちゃってごめんね……
申し訳なさそうに眉を八の字にし謝るAに、一星は驚いたように目を見開く。
充)…もしかして俺を探しに来てくれたんですか?
A)うん…ここならいるかなって
充)…ふーん、なら許してあげなくもないです
案外あっさり許してくれた一星に「ありがとう」と伝える。
…Aが"自分のを"探しに来たという事に嬉しいのだろう。
A)それと話があるんだけど…今、大丈夫…かな?
充)…良いですよ
Aと一星はこの前のようにベンチに2人並んで座る。
充)ほら言った通り、先輩は俺の事を放っておくなんて出来ないでしょう?
そう言う一星は勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。
A)…確かにそうだね
充)じゃあ、俺といることを選んでくれるって事ですよね?
その言葉にAは顔を曇らす。
A)(…一星くんは大切な人だ、大切な仲間)
A)…あのね、よく聞いて欲しいの…私は嬉しいんだ”みんなと”世界に行ける喜びを
Aは小さい子供に言い聞かせるかのようにいつも以上に優しい口調で話し出す。
充)……
A)今回改めて思ったの、私は皆と離れることはできない
A)(皆と世界へ行きたい…もちろん、一星くんとも…)
充)…それって俺のことはどうでもいいって事ですか…?
A)えっ?ち、違うよ!
一星の過剰な解釈に慌てて否定するA。
充)何が違うんだよッ!俺より他の奴らといることを選ぼうとしてるんでしょ!?
突然声を荒げた一星にAは肩を軽く揺らす。
A)そっ、そうじゃなくって…
充)俺の事あんなに気にかけてくれてたじゃないですかッ!俺、あの時期待したのに!…この人ならずっと俺のそばにいてくれるって…
…今の一星は冷静さを失っている。
充)…やっぱりしのがいるからですか?アイツがいるから俺だけのものにならないんですか……
A)…?何言ってるの…?
一星が力無くそう呟いた言葉にAは理解が出来なかった。
何故そこでしのの名が出てくるのだと…。
充)…あー、往生際が悪くて嫌になっちゃいますよ
するとさっきまでの態度とは一変…。
充)もういいです、ここまで上手くいかないならこれ以上先輩に頼っても無駄ですね
スイッチが切れたように本性を晒した一星。
充)俺が先輩に本気で懐いてたわけないじゃないですか、先輩を利用すれば色々便利そうだから近づいただけです
A)…………
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作者名：39 | 作成日時：2023年5月20日 1時
