好都合 ページ46
最近はAが一星君といると色んな人が間に入ってくれるようになった。
その度、Aが一星といる時間も減っている。
その度に一星君を苛つかせてしまっているようだ。
野坂)…ここまで来たらもう大丈夫かな
しばらく廊下を歩くと、突然野坂が立ち止まり此方へと振り返る。
A)…あの、話って?
野坂)うん、一星君についてなんだけど
A)一星くん…?
先程まで居た人物の名前にAは思わず目を瞬かせる。
野坂)彼とは随分と仲が良いようだけど…彼に何かされてない?
若干圧の感じる喋り方にAは冷や汗を浮かべる。
A)うん…?特に何も……
…されたにはされた。
だがそれはAが寝ていた時だった為、Aには心当たりなど無い。
なので素直に答える。
野坂)そう…彼に何かされたら真っ先に僕に言うんだよ?
謎に「僕に」という言葉を何度も強調させてくる野坂に、Aは？を思い浮かべながらも頷く。
野坂)…うん、それじゃあ話も済んだ事だし戻ろうか
A)え…?
野坂)どうかしたのかい?
A)いやえっと…これだけなら更衣室でも良かったんじゃない、の…かな?
特に他の人がいても大丈夫な会話にAは思わず聞いてしまう。
野坂)ああ…他の人がいたら必ず邪魔が入るからね、こっちの方が好都合なんだ
A)ふぅん…?
爽やかに微笑む野坂にAは無理矢理納得する。
野坂)あ、そうだ
A)…?
歩みを進めようとした時、野坂が何かを思い出したかのように立ち止まる。
そんな野坂の行動にAは首をこてんと傾げる。
野坂)Aちゃん、僕頑張ってたよね?
A)うん…?すっごく頑張ってたね、野坂くんのお陰で皆も頑張れたんだよ
「ありがとう」と満面の笑みでお礼を言ってくるAに野坂も微笑み返す。
野坂)だからさ、ご褒美が欲しいんだ…勝ったからね
A)ご褒美…?いいよ、私にできる事ならなんでも
確かに今回の野坂はとても頑張っていた。
そんな野坂の為に何か出来ることがあるならば喜んで力を貸したい、と思っているAはこくりと頷く。
野坂)それなら僕の事抱きしめてくれる?
A)…それだけ?
「うん」とにこりと微笑む野坂にAは頭に？を浮かべながらも野坂へと近付く。
A)えっと…じゃあ、お邪魔します…
恐る恐る野坂へと抱きつくと野坂もAの腰へと手を回す。
しばらく互いに何も話さず無言の時間が流れる。
A)(…こんなのでご褒美になるのかな)
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作者名：39 | 作成日時：2023年5月20日 1時
