余計なお世話 ページ41
A)あっ!消毒液とコールドスプレーもどう
アナハン)俺達を嘲笑いに来たのか?
鞄から取り出した消毒液とコールドスプレーを持ち「どうぞ」と言いかけた時、アナハンが被せるように声を荒らげる。
その目は警戒するような険しいものだ。
…それもそうであろう。
例え親切で言ったとしても、相手からすれば負けた相手に情けをかけられたと捉えられる行動だ。
それに加えアナハンは恐らくオリオンの使徒なのだろう。
余計、今のAの行動は厭悪なものなのだ。
A)……ごめんなさい、そんなつもりは一切ないんです…ただあなた達の怪我が心配で
アナハン)貴様達の卑怯な技で負ったものだが?
その言葉にAの心臓はズキリと熱く感じた。
相手も似たような事をしてきたといえど、Aには責任を感じるには充分な言葉だった。
A)そうですね…本当にごめんなさい、だからせめて…少しでも良くなるように
アナハン)貴様からの同情など必要ない
A)同情じゃない……っ同情でいいです、もう何とでも思ってください
「同情じゃない」と言おうとしたが、何度言っても返させる言葉は同じだろう。
そう思ったAは小さくため息をつくと、救急箱からガーゼを取り出しアナハンに近付く。
アナハン)近寄るな……ッ!
離れようと後退るアナハンだが、やはりグリッドオメガで受けた傷が痛むのであろう。
片足が痛むようで片膝をついてその場に屈み込む体制となる。
その姿が"かつての姿"と重なる。
A)…大丈夫、怖くないから
痛みでもがき苦しむアナハンの前まで来るとAも目線を合わせるかのように屈み込むむ。
そして怖がらないようにそっと、優しく消毒液を当てていく。
その行動にアナハンは目を見開くようにして此方を見つめる。
アナハン)よ、余計なお世話だ
A)余計なお世話でいいです、痛むのならちゃんと手当しないと…バイ菌入っちゃいますよ
手際よく最低限の治療を済ませると「よし」と呟き、道具を救急箱に仕舞うと救急箱ごとアナハンに差し出す。
A)返さなくていいので、チームメイトの方にもちゃんと手当してあげてくださいね
「専用の物もあると思いますが…多いに越したことはないので」と付け足し、半ば無理矢理にアナハンに救急箱を押し付ける。
クムシュ)キャプテーン!
するとタイミングよくアナハンのチームメイト、クムシュの声が聞こえた。
A)(近くにいるならこのままでも大丈夫かな…私も早く行かなきゃ)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 35人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：39 | 作成日時：2023年5月20日 1時
