素直になった者勝ち ページ32
2対1…希望が見えてきた。
しの)やった…やったあ!
しのは嬉しそうにAに抱きつく。
A)うん…!本当に…凄いよ野坂くん!
2人は野坂と灰崎、ヒロトの元に駆け寄る。
するとAはハイタッチを求めるように両手を上げる。
ヒロト)誰がやるかっての
灰崎)ガキかよ
A)えぇ…
点を決めた張本人だと言うのに全く喜ばずに、寧ろAを見下す2人に口をへの字に曲げる。
しの)素直じゃねーの
野坂)それなら僕としようか、ほら
そう言うと野坂は優しくハイタッチをしてくれる。
その事が嬉しかったのだろう。
Aは落ち込んだ表情から嬉しそうな表情へと変わる。
瞳には溢れた抑えがたい喜びを写しているほどだ。
A)やった!えへへ…
にこにこと嬉しそうに笑うAを見て野坂も軽く微笑む。
しの)…んな睨むくらいならお前らも素直にハイタッチすればよかったのに
そんな微笑ましい2人を他所に灰崎とヒロトは鬼のような形相で睨んでいたのだ。
ヒロト)馬鹿言え!あんなの何も羨ましくねぇよ!!
しの)めちゃくちゃ野坂の事睨んでんじゃん?あーゆーのって素直になった者勝ちだぜ?
灰崎)うるせえ!あんなガキ臭いことに付き合ってられっか
そんな2人を呆れたかのように忠告するがかえって火に油を注いでしまったようだ。
しの)(マジでコイツらめんどくせぇ…)
試合再開のホイッスルが鳴り、ウズベキスタンからのキックオフで再開する。
野坂は襲いかかってくる敵をボールを持ったまま次々とかわしていく。
野坂)前半の試合を移動中に中継で見ていた、君達のやり方は把握している…やってくる事が分かっていてかかるわけがないさ
A)(凄い…)
Aは思わず目を奪われていた。
それ程までに野坂のプレーは素晴らしいものなのだ。
前後左右に細心の注意を払い、フィールド全体の動きを把握してドリブルで優雅にかわしていく。
野坂は前線まであがり、膝に乗せたボールを蹴り上げてそのままシュート体勢をとる。
野坂)"月光丸・燕返し!"
幻想的な美しい必殺技はウズベキスタンのゴールへ。
アレク)この程度のメロディか、止める!“忘却のソナタ!”
二つの技がぶつかり合う…が、野坂の必殺技はアレクの必殺技を打ち破ったのだ。
しの)これで3ｰ2!
A)凄いよ!野坂くん…!
Aは気持ちが昂ってしまい思わず野坂に抱きつく。
野坂は驚いた表情をしながらもしっかりと受け止めてくれる。
野坂)僕に抱きつくだなんて珍しいね
A)あ、つい抱きついちゃった…ごめんね
Aは目尻を下げ頬を赤らめて、すぐに離れようとするが野坂が離してくれない。
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作者名：39 | 作成日時：2023年5月20日 1時
