鬼道から ページ25
しばらく歩くと宿舎に入りすぐに手を離す西蔭。
西蔭)とりあえずここまで来れば大丈夫でしょう
A)ええっと…何かあったの?
西蔭)いえ、何もありません
A)…え、え?…でで、でもさっき用があるって
今度こそと意気込んで声をかけてみると、まさかの返答でワンテンポ遅れてしまう。
西蔭)あれは嘘です
A)うっ、嘘?…何の為に…?
西蔭)…鬼道さんから貴方を任されているんです
A)鬼道くん…?
西蔭の話によると先日、鬼道は一星の近況報告を西蔭に聞きに来ていたという。
鬼道)すまないな、こんな事を頼んでしまって…
西蔭)いえとんでもありません
鬼道)…それからお前にもう1つ、頼みたい事が出来たんだが…
西蔭)…俺に出来る事なら何でもしますが
鬼道)Aの事だ
西蔭)…Aさんですか?
鬼道)アイツはどうも一星につきまとわれているようだからな…Aの身に何か起きる前にお前が守って欲しい
西蔭)…そうなんですか
鬼道)…本当は俺の役目なんだがな、今の俺はアイツの傍にいてやることが出来ない
だからせめて俺がいない間はお前にアイツの事を任せたい
鬼道)…アイツの傍にはしのがいるが、しのは手を出すのが早いからな…何かやらかしてしまうとしか思えない
そう言うと、フッと小さく笑みを零し続けて告げる。
鬼道)アイツはお人好しが過ぎるからな、やはり心配なんだ
…ということがあったそうだ。
A)…そうだったんだ…
……「お前は必ず守ってみせる」……
A)(あの時の事を今でも…?…本当にありがとう、鬼道くん)
「やっぱり鬼道くんは優しい人だ」Aは嬉しさで口元が緩む。
A)…って、鬼道くんいつ来てたの?西蔭くんに頼むなら私に直接言えばいいのに……皆に顔ぐらい見せたらいいのにね……
ハッとした表情でこの場に居ない鬼道に詰め寄るAに、西蔭は一瞬驚いた表情を見せながらも律儀に答えてくれる。
西蔭)何故俺なのかまでは分かりませんが、鬼道さんはまだ戻ってくるつもりはないそうです
A)…そっか…
「戻ってくるつもりはない」と言う西蔭の言葉にAは悲しげな目付きに。
西蔭)…ですがいつか戻ってくると思います
A)!そ、そうだよね!
だが、すぐさま明るい表情へと変わり力強く頷く。
西蔭)…実は野坂さんにも頼まれているんです
A)え、野坂くん…?
西蔭)はい、Aさんと巡音に近付くガラの悪い連中から護れと
A)そんな事を…
西蔭)なのでなるべく俺の目の届く場所に居て欲しかったのですが…さっきも嫌な予感がして探しに来てみれば、やはり一星の元にいたんですね
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作者名：39 | 作成日時：2023年5月20日 1時
