アッキー先輩 ページ21
しの)なんだよ〜、じゃあ最初っからそう言えっての
難しい言葉はサッパリの、頭の弱いしのに不動は呆れのため息を漏らす。
左手をポケットの方にしのばせると不動の言った通り飴…ペロペロキャンディがあった。
しの)お〜!アッキー先輩最高っ!
3つ分のペロペロキャンディを抜き取り、2人には聞こえないように耳元で囁く。
"アッキー"という単語に不動の目が見開き、しのはその反応ににんまりする。
不動)お前…まさか今まで覚えてたのかよ
しの)当たり前っしょ、おれ馬鹿だけどファンの顔だけは覚えんだから!
「流石はトップアイドルのしののん…!」と自画自賛しているしのに不動は額に青筋を立てる。
不動)ファンじゃねーっての…おい、次その名前で呼んだら
しの)はいはい、皆の前では呼ばないであげるよ…アッキー先輩ぃ?
片手を口元に添えて逆三日月のような嫌らしい目を不動に向ける。
そのしのの反応ぶりに不動はすぐに理解する。
…コイツは自分を小突き回す為に今まで公にしなかったのだ、と。
不動)チッ、性悪にも程があんだろ…
灰崎)おい、何話してるんだ
しの)ベっつに〜?オラよ、不動先輩から奢りだって
ヒロト)おっ、気が利くじゃねえか
しのもゴッデビもペロペロキャンディを貰うと途端に大人しくなる。
そんな3人の姿を「ガキだな…」と思った不動であった。
しの)……っと、食べモンはこれで全部っ!
灰崎)おい、トイペ片付けたか?
ヒロト)おーー…
買い出しから宿舎へと帰ってきたお使いメンバーは、それぞれ荷物を片付けているようだ。
不動)(疲れた…)
不動はというと、余程疲れたのだろう。
食堂の椅子を引っ張るとそのままドサッ、と乱暴な音を立ててると座りながら眠ってしまった。
しの)ん?……ゴッデビ〜
食材を冷蔵庫に入れ終えたしのはすぐさま寝ている不動を発見する。
灰崎)…寝てる?
しの)ぐっすりと
不動を起こさないように、と小声で2人のあだ名を呼ぶと素直に此方に来た。
ヒロト)灰崎、布団かけとけよ
しの)頭も寒そうだしこうしとこ
灰崎)不動って何やかんや良い奴だよな
しの)面倒見がいいんでしょ
灰崎)実は良い事してるタイプか
ヒロト)そういうのは"陰徳"って言うらしいぞ
「緑川が言ってた」と付け足すヒロトの言葉に、灰崎は「ふーん…」と興味が無さそうな反応をとる。
灰崎)よく分かんねえ奴だな
しの)おし、可愛い後輩のおれらが良い奴だって広めてやろうぜ
数分後、バスタオルを頸部辺りでリボン結びにした頭に。
肩には「この人は後輩にお菓子を奢る良い人です」というプラカードをぶら下げている。
不動の怒号が宿舎に響き渡ったとかなんとか…。
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作者名：39 | 作成日時：2023年5月20日 1時
