突然の意地悪な発言 ページ19
A)……大丈夫?風丸くん
風丸)えっ…そんなに大丈夫じゃなさそうに見えるか?
A)うん、見るからに落ち込んでるって分かるね
風丸)…これでも顔に出ないようにしていたつもりなんだがな、アイツらにも悪い事したなあ
「ただでさえ不安な状況なのに…」と付け足す風丸の顔は笑ってこそはいるが、憂わしげな表情のままだ。
だが、そうなるのも仕方ない。
豪炎寺や鬼道そして円堂もいない今、イナズマジャパンにとっては最も不安な状況。
そしてこの3人は去年、弱小からFFを勝ち抜いた雷門なだけあって他の者からの期待値が高かった。
その3人がいない今、その雷門を名乗れる3年生は風丸とAしかいない。
それに加えAがそういった事が苦手だと分かっている分、風丸はその分不安や他の者からの期待も背負っているのだろう。
A)…風丸くん
名前を呼ばれると同時にAの方へ振り向く…と。
風丸)ん…?!……っA?
Aは人差し指を風丸の口角に添えると、頬の方に向かってキュッと引き上げる。
そんなAの行動に風丸は内心ドキドキが止まらずにいた。
なんと言っても好きな子が至近距離に、おまけに自分の顔を触っている。
そんな状況にドキドキしないという選択が出来るはずもなく心拍数がどんどん上がる。
そんな風丸の状態に気付くはずもなくAは言葉を続ける。
A)笑おう!そんなにしょんぼりしてたら、円堂くんも豪炎寺くんも鬼道くんも安心して帰って来れないよ!
風丸)A……
にこっと可愛らしい笑顔で語りかけてくるAに目を瞬かせると、風丸も釣られて優しい顔付きになる。
風丸)そうだな、お前に励まされるなんて俺もまだまだだな
A)えっ?ちょっとそれどういう意味?
突然の意地悪な発言にAはわざとらしく片頬を膨らます。
そんなAの問いには答えず「はははっ」と気分が良さそうに笑って返す風丸。
A)もぉ〜!人が心配してるのに…!
風丸)悪い悪い
片手を自分の口角に添えているAの手に重ね。
もう片手はAの頭に置くと手を櫛のようにしてわしわしと撫でる。
A)もう……それじゃあ、私はそろそろ御暇しようかな
風丸)ああ、ありがとな
「1人の時間も欲しいだろう」そう思ったAは腰を上げると、風丸に軽く手を振り湖畔方面に向かった。
1人残された風丸はAが居なくなったのを完全に確認すると、耳まで真っ赤にさせポツリと呟く。
風丸)…っ〜〜〜……っバレてないよな…?
事故とはいえ、支えた時に微かに胸部に触れてしまったことに…。
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作者名：39 | 作成日時：2023年5月20日 1時
