慧星に響く歌声は3【オリオンの刻印】 (ページ15)

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好きの形ページ15

ヒロト)んなことねーよ!

ムキになるところがますます怪しい…とは言わないでおこうとタツヤは思った。

砂木沼)あまりAを泣かせるような事はするなよ、でなければ俺が承知しないからな

ヒロト)お前はアイツの親父か何かかよ…

するとヒロトは乱暴に椅子から立ち上がり談話室から出ようとする。

砂木沼)おい、何処に行く

ヒロト)あ?自分の部屋に決まってんだろ、お前らにこれ以上付き合ってられっか

砂木沼が呼びかけるが、ヒロトはバツの悪そうな顔をしながら談話室の扉を乱暴に閉めて出ていってしまった。

砂木沼)…やり過ぎたか

タツヤ)その前から苛立ってたからな、本当に好きなんだな…

何処か遠い目をしながら語るタツヤの目は、砂木沼から見ても哀愁を漂わせているのが分かった。

砂木沼)…お前はそれでいいのか?

タツヤ)え?

砂木沼)気付かないと思ったか、お前もお日さま園の頃からAの事が好きだろう

砂木沼の言葉がタツヤの心臓に深く突き刺さる。

タツヤ)…俺は違うよ、Aは家族として好きでヒロトとは違う…好きと言っても色んな形があるだろ?

まるで自分に言い聞かすように告げるタツヤを見て、砂木沼は深いため息をつく。

砂木沼)何を思っているかは知らんが後悔しないようにな

そう言うと砂木沼も談話室を出ていき、部屋にはタツヤ1人だけがポツンと残された。

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タツヤside

…なんだ、砂木沼の奴

…俺がAを好き?

…違う、俺は晴也や風介…リュウジとは違う

…俺の抱いている好きは家族としてのものなんだ

…砂木沼だってAを妹のように思ってるじゃないか、それなら俺も同じだ

…砂木沼と同じものであって、異性としてじゃない

…Aだってそう思ってる、だから俺も違うんだ、違う

…それにしてもヒロトに好きな人か

…しかも相手はAだ…

…俺も嬉しい…嬉しい、筈だ

…ヒロトはAといる時はいつも楽しそうだし…

…Aもヒロトといるの、悪くないって思っているはずだ

…父さんだってヒロトがAの事が好きだって知れば喜んでAを迎え入れるだろうし

…瞳子姉さんとAも仲がいい

…なんだかんだお似合いの2人じゃないか、絶対に上手くいく

…俺はヒロトの恋を応援する

…それだけだ、ただそれだけなんだ

…だから、このモヤモヤも気のせいだ

…絶対に、何でもない