ヒロトのママ ページ13
A)ご、ごめんね…もう顔出さないから、タツヤもヒロトくんもおやすみなさい
ヒロト)っちょ、待てよ!
言うのが先か。
Aはヒロトの言葉を聞く前に足早に部屋の扉を強引に閉じて鍵をかけてしまった。
タツヤ)…ヒロト
しの)もっと言葉選んで話せっての、見惚れてたからって誤魔化し方も下手くそだし
いつも通り、Aにはキツめの言葉でしか話せないヒロトにタツヤとしのは呆れた顔をする。
ヒロト)んな…っ!べ、別に俺がアイツに何言おうと勝手だろッ!!
そんな2人に反抗するかのようにヒロトが口を開くが、タツヤがそんなヒロトに対して顔を顰めて首を横に振る。
タツヤ)あんな事を言われて嬉しい人がいるか?素直になれないのもいい加減にしろよ
そう言われて何も言い返せないのか。
ヒロトは不機嫌そうに舌打ちを鳴らす。
しの)タツヤ、完全にヒロトのママじゃん!ママに迷惑かけんなよ〜
ゲラゲラと笑いながらからかってくるしのにヒロトが青筋を立てながら突っかかろうとするが、すんでの所でタツヤが止める。
タツヤ)ほっ、ほら!俺に用があるんだろう?移動するぞ
ヒロト)…おう
しのをひと睨みするとフンッと鼻を鳴らして去っていくヒロト。
タツヤ)…しのも余計な事言わないでくれよ
しの)だって事実じゃん…子守りお疲れさん
全く反省していないしのにタツヤは深いため息を零しながら、去っていくヒロトを追う。
しの)…Aちゃーん、タツヤとヒロトどっか行ったよ
コンコンコン、と扉を何度も叩く。
するとガチャリと鍵の空く音が聞こえ、Aはひょこっと恐る恐る顔を覗かせる。
しの)んな心配しなくても大丈夫だって
A)だ、だってヒロトくん怒ってたから…
やはりヒロトに言われた事を気にしているのであろう。
悲しそうに眉を下げるAの姿を見てしのはヒロトに殺意が湧いてしまう。
しの)気にしない気にしない!ヒロト如きの言い分なんて、それよりお風呂入りに行こっ!
酷い言いようだがそれ程しのがヒロトに対して苛立っているのだ。
しの)にしても部屋片付けれたんだねっ!まーた散らかってるとと思ってたのに
「"あの頃"と比べたら成長したな〜!」と嬉しそうに鼻歌交じりにそう呟くしの。
そんなしのの姿にAはギクリ、と肩を揺らす。
A)あーっ…実は適当に突っ込んだままで…この前綺麗にしておいて良かったよ……あはは…
しの)…今度断捨離してやんよ!
目を逸らしながら頬をポリポリと掻くAの手を引きながらお風呂場へと向かった。
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作者名：39 | 作成日時：2023年5月20日 1時
