餓鬼 ページ42
Aside
敦と仲直りした数日後、私は海を見ていた。
潮風も吹かない静かな昼下がりだ。
私は君との待ち合わせに、つい30分も早く来て仕舞った。
幾ら待ち望んだ時間といえども、流石に早く来すぎだ。きっと引かれて仕舞う・・・
頭を抱えようとしたところで、「何をしている、情報屋?」と、久方ぶりの声を聞いた。黒外套の青年だ。
『・・・芥川さん。貴方こそ、海辺は苦手なのでは?』
「今日は風が無いからな。其れに、数日前から中原幹部の様子が少しおかしい・・・気晴らしに外に出てきたのだ」
芥川さんの台詞に、頭に過ったのは勿論、中也さんの言葉に返事もせず敦の元に駆けた私の行動。
・・・けど、中也さんの様子がおかしいのは私のせいだとか云ったら、絶対怒られるな・・・
「どうせ貴様のせいなのだろう」
心でも読まれたかと思い、芥川さんの方を見る。すると、彼は呟いた。
「中原幹部は、大分前から貴様の事を気にかけて居た。昔からことあるごとに貴様の話をしていたが、其れが無くなったのだ。其れは、貴様の雰囲気が柔らかくなった事と何か関係があるのだろう?」
『・・・さぁ、芥川さんがそう云うなら、そうなのかも知れませんね』
中也さんが私の事を前から心配して呉れて居たというのは初耳だったが、雰囲気が柔らかくなったという芥川さんの指摘はあながち間違っても居ないだろう。
私は、中也さんの云った通り、今迄より幾分か餓鬼らしく生きていくつもりだった。
無邪気に莫迦正直に、自分の気持ちに嘘を吐かないで生きて行く。
こんな私には、不可能かも知れないけれど＿＿
『一緒に歩いて行きたいと思える人が出来たので』
「そして其れは、中原幹部でも太宰さんでも無いのだな?」
責める口調ではない。只淡々と、確認する口調だ。
思えば、太宰さんにも大分迷惑を掛けて仕舞った。敦が居なくて埋まらない心の隙を、あなたで埋めようとしたから。
太宰さんは、確かに私の心の抜け落ちた部分を覆ってくれた。中也さんも、向こう岸に渡る為の助言をくれた。
・・・でも、其れでも。
『はい、お二人ではありません』
心の隙間をぴったりと埋めて呉れるのは、矢張り君しか居ない。
「そうか」
芥川さんは目を伏せた。
「僕は貴様が嫌いだ。然し、貴様の其の傲慢な部分を埋める奴が現れたなら、其れは僕に取っても幸運だ」
そして、小さく笑う。
「精々幸せになれ」
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☆天香☆ - 蟹江さん» ええええええっ！?(歓喜)蟹江様の作品大好きでいつもいつも笑わせて頂いて居るので、まさかそんな蟹江様が僕の小説を読んで下さるとは思わず、超嬉しいです！語彙力の塊ってそれは貴方様では・・・！?本当に嬉しいです、有難う御座います！更新頑張ります！ (2019年11月3日 11時) (
レス) id: a8fcda6e2a (このIDを非表示/違反報告)
蟹江(プロフ) - 貴方様の小説が読みたくて、探してみました(気持ち悪いことして本当にすみません)文才？って云うんですかね語彙力の塊ですね…!？他では見ないような素敵な作品だと思います！更新頑張ってください！ (2019年11月2日 20時) (レス) id: 5573998c0c (このIDを非表示/違反報告)
☆天香☆ - アイさん» こんにちは、コメント有難う御座います！ある意味で思い切りとノリのいい夢主ですよねw万人受けするものを面白く書けない質ですので、新鮮で面白いと言って頂き光栄です！更新頑張ります！ (2019年10月20日 20時) (レス) id: a8fcda6e2a (このIDを非表示/違反報告)
アイ - どうもー、天香さんの参加しているイベントの主催者のアイです！まさか、夢主ちゃんが本当に太宰と心中してしまうなんて･･･驚きです！あまりこのような作品は見ないので、新鮮でしたが、とても面白かったです！これからも頑張って！ (2019年10月20日 17時) (レス) id: 2d5f8eb3ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：☆天香☆ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/amaka00/
作成日時：2019年10月3日 14時
