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臆病と無知 ページ31

足音が近付いて来るにつれて、自分の血の気が引いて行くのを感じる。




「ねえ、Aお願い、早く帰っ・・・」




僕が懇願に近い口調で云うと、ふと此方が明るい提灯(ランタン)の光で照らされた。




「・・・何をして居る。日暮A」




院長の声だ。僕は、恐怖で凍り付きそうになる役立たずの脳味噌を必死で働かせて、口を開いた。




「あ、えっと、彼女、敷地内を歩いてたら迷って此処に来ちゃったみたいで・・・」




僕の口はぎこちなく動く。此の儘巧く誤魔化すんだ。彼女が傷付かなくて済むように、巧く遣れ。




そう思って居た矢先に聞こえたのは、他でも無いAの凜とした声だった。




『違います。私は、自分の意思で、此処に、来ました』




はっきり自分の顔が青ざめるのが判った。駄目だ、きっと彼女が続ける言葉は、其の身を滅ぼす物にしか成らない____




『私は、貴方が、間違ってるとしか思えませんッ!』




激昂した彼女は、一瞬の間を置いてから、強く頬を張られた。




「待っ・・・!」




鎖に繋がれた僕は踞った彼女に手が届かない。否、仮に手が届いても、臆病者の僕はきっと呼び止めるだけで終わって仕舞う。




僕が絶望しながら彼女をただただ眺めて居ると、ふとある事に気付いた。




彼女は未だ反抗的な目をしている。




___彼女が判らない。そう思った。




何故僕なんかに関わる。無謀に大人に歯向かって、挙句の果てに自分の身を危険に晒す。




其の意味が判らず、奇妙に思える程泣きたく成った。




僕は黙って、院長に引き摺られて行くAを見て居た。そうする事しか出来なかった。




其の後彼女がどんな懲罰を受けたのかは知らない。




けれど数日後には、小さな顔に大きな湿布を貼った彼女の姿を院内で見て、胸がぎゅっと締め付けられた。




「御免」




次に話した時僕はそう云ったけど、Aは『何の事?』と惚けた。




流石に僕も、其れで日和る程莫迦じゃない。




だって惚けた彼女の右頬には、未だ僕のせいでついた痣が残って居たから。

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☆天香☆ - 蟹江さん» ええええええっ!?(歓喜)蟹江様の作品大好きでいつもいつも笑わせて頂いて居るので、まさかそんな蟹江様が僕の小説を読んで下さるとは思わず、超嬉しいです!語彙力の塊ってそれは貴方様では・・・!?本当に嬉しいです、有難う御座います!更新頑張ります! (2019年11月3日 11時) (レス) id: a8fcda6e2a (このIDを非表示/違反報告)
蟹江(プロフ) - 貴方様の小説が読みたくて、探してみました(気持ち悪いことして本当にすみません)文才?って云うんですかね語彙力の塊ですね…!?他では見ないような素敵な作品だと思います!更新頑張ってください! (2019年11月2日 20時) (レス) id: 5573998c0c (このIDを非表示/違反報告)
☆天香☆ - アイさん» こんにちは、コメント有難う御座います!ある意味で思い切りとノリのいい夢主ですよねw万人受けするものを面白く書けない質ですので、新鮮で面白いと言って頂き光栄です!更新頑張ります! (2019年10月20日 20時) (レス) id: a8fcda6e2a (このIDを非表示/違反報告)
アイ - どうもー、天香さんの参加しているイベントの主催者のアイです!まさか、夢主ちゃんが本当に太宰と心中してしまうなんて・・・驚きです!あまりこのような作品は見ないので、新鮮でしたが、とても面白かったです!これからも頑張って! (2019年10月20日 17時) (レス) id: 2d5f8eb3ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:☆天香☆ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/amaka00/  
作成日時:2019年10月3日 14時

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