手の届かない君だけど…。4 *A.Daiki*

99♯ ページ9

薮side







「明日から、メイクさんいままでの人と変わるって。」






マネージャーにそう言われた俺。






「ほら、あの子だよ。この前の子。」









この前の子。




って…あかりちゃん？






「それって、吉田あかりちゃん？」



俺はそう聞いた。









そしたら、意外な返事が返ってきたんだ。




「違うよ。えーっと……



吉田Aちゃんだって。」









ん？





マネージャーが履歴書を俺に渡してくれた。


でも、そこにあった写真の顔は、確かにこの前のあかりちゃんだった。








「どうしたの？」



考え込んでいたところにマネージャーが聞いてきたから、なんでもないよって、そう答えたけど…








なんでもないはずがない。








.







これはどういうこと？




顔が全くといっていいほど同じなのに、名前が違う。





もしかして双子かとも思ったけど、この前大ちゃんに「一人っ子です。」って言ってた気がするからそれはないだろう。









だとすると…









偽名？




まさか履歴書に偽名は使わないだろうから、あかりって名前が偽名ってこと？








.








.









もし俺の考えが正しいとしたら…というかそれ以外に考えろうがないんだけど、何か深い理由があるんだろう。





Aちゃん…あかりちゃんが悪い人には到底見えなかったし。






「このこと、他のメンバーに言っちゃった？」



そう聞くと、まだ言ってないよ。と答えたマネージャー。




「じゃあさ、これ俺がみんなに伝えとくよ。」









.








そう。

もしマネージャーが伝えちゃうと、あかりちゃんの本名がみんなに伝わっちゃうからね。






きっと、偽名を使ったってことは本名をバラしたくない理由があるから。






そうでしょ？








だから、このことは俺の胸の中だけにしまっておくよ。

みんなにはあかりちゃんがくるって、そう伝えるね。









.









そしてもう一つ。




このことは、事前に伝えなきゃいけない3人がいる。






.






いのちゃんと、山田と…



それから大ちゃん。









いのちゃんと山田は、誰にでも分かるくらい、あかりちゃんに特別な気持ちを持ってたから。









大ちゃんは…

俺の直感で、なんかある。

そう思ったからかな。

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