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10:盾と矛 ページ10
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「それにしても、土方さん。芹沢さんと新見さんも局長って本当なんですか？」
欠伸をしながら、総司は軽い口調で言った。
その言葉に歳三は、小さく肩を震わせる。
「てっきり、近藤さんだけかと思ってましたよ」
そんな彼の様子に気付いているのか、それとも、いないのか、総司はさらにそう続けた。
彼にはこういうところがある。
ニコニコと人のいい笑顔を浮かべながら、最も触れて欲しくない核心を丁寧なまでに突いてくるのだ。
冷静沈着の仮面を被った歳三も彼のこれにはかなり参っていた。
「うえからの指示だ、従え。それで構わないんだ…今はな。」
歳三は、最後を小声で付け足すと総司を振り向いた。
「いいか、総司。お前は、俺と近藤さんを裏切るなよ。」
そして、切れ長の目で見つめる。
総司はその瞳をじっと見据えると、急にふっと笑った。
「いやだなぁ、土方さん。僕が慕うのは近藤さんだけですよ？」
そして、おどけた口調でそう言う。
その言葉に歳三は
「それを聞いて安心した。」
と、言いながらちいさく笑った。
それから、総司にこう告げる。
「俺は、組を護る刀となり盾となる。総司。てめぇは近藤さんを護る刀となり盾となるんだ。」
年若い剣士はその言葉にしっかりと頷いてみせた。
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作者名：？？ x他1人 | 作成日時：2014年4月22日 17時
