29:入隊許可。 ページ29
*
その後、勇や総司や魁など歳三が信頼する者だけが集められた会議の末にAの入隊が認められた。
無論、総司はかなり渋った。
しかし、Aは羅刹のことも知っている。総司の病気のこともだ。
このまま放置し、長州や薩摩の手に渡るよりいいと考えた歳三は嫌がる彼を適当に宥め、監視下に置くために自分の小姓とした。
「四六時中一緒なの？いやぁ、ないわ……」
小姓の仕事は仕える主人の身の回りの世話をすること。
その為、普通ならずっと近くにいなければならない。
「俺は要らんから昼は女中と仕事してろ」
しかし、なんでも一人でこなさねば気がすまないこの男にそんな役の者は不必要だろう。
案の定、彼はそう言い残して部屋を出て行った。
「それでは小姓にした意味がないのではないすか…？」
話し合いに参加していた副長職の一人、山南 敬助(もう一人は土方である)が彼の消えた襖に向かって呟く。
「まぁ、なるようになるさ！」
豪快に笑う勇に一同はつられて笑みを漏らす…
「少しでも不審だと思ったら直ぐに斬りますからね」
先程のことをかなり根に持っているような総司を除いて。
彼はAを睨みつけながら、丞が用意した茶を啜った。
「あんたに俺が斬れるなら…どうぞ斬ってください？」
小馬鹿にしたような彼女の言葉に総司の額に青筋が浮かぶ。
「俺なんて一人称が似合う女はA意外に居ねェだろうなァ…」
不穏な空気に反するような明るい声が部屋に響く。
腹に切腹の跡がある原田 左之助だ。
後に十番隊を率いる槍の使い手である。
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続く (更新停止中)
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作者名：？？ x他1人 | 作成日時：2014年4月22日 17時
