たった一つの居場所【治崎廻】 (ページ31)

今日:7 hit、昨日:1 hit、合計:62,112 hit

三十番ページ31

針の話した内容を簡単にするとこうだ

まず、父さんの孫であるエリさんはある日個性で父親を消してしまった

そんな彼女を母親は“呪われてる”と言って捨て、父さんが引き取ったそうだ

そして、父さんに彼女の世話ついでに個性を調べるように頼まれたのが廻だった

彼がエリさんの個性を調べた結果、巻き戻す“個性”だという事が判明

調べた本人である彼はある計画を思い付いた

それは個性を消滅銃弾を作って売り出し、ある程度出回ったところでヒーロー達に“個性”を復活させる“血清”をチラつかせ売り捌く、というものだった

そうして市場を独占体制で支配し、ヤクザが…八斎會が再び裏を支配する

その為に彼女が必要であり、計画の核なのだ

「さっきの話はもう父さんに？」

「しやした。そしたら反対されちゃいやした」

先程の話を聞いて父さんが賛成する訳がないのは分かっていた
父さんがそういうのを嫌っているのは知っているから

けれども私は計画自体には賛成だ

勿論父さん考えは理解出来るが、廻の計画の方が実現する可能性が高い
いや、彼の考えた事なのだから絶対実現する筈なのだ

しかし、私には一つだけ気になる事がある

「私は計画自体には賛成です。ですが、エリさんが傷付く様な事があれば反対します」

それは彼女が傷付く事になり、辛い思いをしないかどうかが私の気になる事だ

子供には普通の子達の様に育って欲しい
父さんの孫となれば尚更だ

「…分かった。“エリは傷付けない”約束しよう」

「有難う御座います」

彼に何を言われるのか緊張していたが彼の言葉を聞いて安心して、私は仕事に戻った

この時の私は後に後悔する事になるなんて思ってもみなかった