たった一つの居場所【治崎廻】 (ページ15)

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十四番ページ15

そこからは時間が過ぎるのはあっという間だった

誰が通報したのかは知らないが大勢の警察官が家に入って来た

母はその場で死亡が確認され、父は救急車の中で命を落としたらしい

“らしい”と言うのは人に聞いたからである

実際私は一緒に乗り込まなかった
しかし、乗り込まなくて良かったと思っている

「“殺してやる”か…」

理由は父が最後に残した言葉だ

誰に言ったのかは分からないが私の事を言っていたのかもしれない

両親の葬式には友人や親戚の人達が集まり、涙を流した

一方私は一滴も涙を流す事はなかった

「今日からおめぇの家は此処だ」

私は組長さんに引き取られる事となった

親戚の人達は誰も引き取りたがらなかったそうなのですんなり事は進んだそう

「ところでA。今までの事、全て話してくれねぇか？」

葬式の数日後の事だった

両親を殺したあの二人組が捕まったというニュースを見ていた時に
ふと組長さんにそう言われた

私はこの人を十分信頼している

だからだろうか
話してみようと思ったのは

きっとこの人なら全てを受け止めてくれる気がしたのだ